箱いっぱいに詰めこまれた幸せ 旬のフルーツ【今週のお題】
今週のお題「あまい」
次に覇権を握る柑橘類は「せとか」かもしれない。
そんなことを最近考えている。次もなにも、現在の王者はどれなんだって話ですが。
果物は好き、しかし自分からフルーツ売り場にはあまり行きません。家族が買ってきたら有り難くいただくけれど、皮剥きが面倒だと後回しにして、気づくと食べそびれていたり。
状況が一変したのは、季節ごとに果物を送ってきてくれる知人の存在。
母の旧友であり、青果市場に勤めるその方は、長年の経験とコネクションで厳選したフルーツをダンボールいっぱいに詰め、届けてくれるのです。しかも頻繁に。
たとえば、さくらんぼ。
このあいだまでは佐藤錦より、断然アメリカンチェリーのほうが好きでした*1。甘いし、比較的安価だし、かための果肉の歯応えも楽しい。
「見た目が華やかなわりに、ちょっと間の抜けたしゃっきりしない味」……散々な評価だった佐藤錦が、こんなに繊細でおいしいとは!
スイーツのてっぺんを飾るあれとはまったくの別物です。
ただし、その位置は正しい。赤い粒が美しく並んだ様子は、まるで宝石のようでした。数ある果物の頂点……!
あるときは桃が「水蜜桃」と名付けられた理由に納得し。
あるときはマンゴーの鮮やかな色に心躍り。
サクサクした食感もおいしさに一役買う梨、食べ頃を匂いで見極める濃厚な洋ナシ、どちらも甲乙つけがたい。
シャインマスカットなんて、高価すぎて自分では絶対に買わなかったでしょう。鼻に抜けていく芳しい香りさえ、大事にだいじにいただきます。
そして、冒頭のみかん「せとか」について!
ずぼらな性格のため、グレープフルーツや夏みかんといった「ナイフを使って切ったり、皮を剥かなければいけない」柑橘類をあまり好みません。コタツで食べるみかんのように、手を汚さず簡単にパクッとできるものが好きです(私は片手でみかんを剥ける)。
なので、大きめ柑橘類のトップはデコポンが長年独走状態でした。
そんななか隣に並んだのが冒頭の「せとか」です!
「清見」「アンコール」「マーコット」といったみかんを掛け合わせた「せとか」は、生産量が少ないためか見かける機会の少ない品種です。
けれど、そのおいしさはお墨付き! 旬の時期に出会えたら、ぜひ試してみてくださいね。
自分用に書きとめた「デコポン・せとか比較メモ」を公開しておきます。
【デコポンとせとかの違い】
①見た目
せとか→デコポンと比較し、あきらかにきめ細かい皮 形は綺麗なまん丸
デコポン→特徴的なボコボコした形をしている
②皮の厚さ
せとか→皮がきわめて薄い
果実の大きさ=過食部のため、満足感がある
③味について
デコポンはハッキリした濃厚な甘さ
せとかは少し控えめで上品な甘さ
酸味が少ないのは双方同じ
④果肉
デコポンの方がしっかり固め、食べやすい
せとか、やや柔らかく汁気も多い(食べにくいほどではない)
気前のいい知人をもった幸運を享受している我が家ですが、怖いことがふたつあります。
ひとつめは毎回お返しの品に悩まされること。
目利きが選んだ果物は素人目でも最高級品なのがわかります。
いくら「お返しなんて気にしないで」と言われても、感謝をこめて良い品(かつ無駄にならないもの)を贈りたい。しかし、そろそろネタ切れです……。
ふたつめは果物がおいしいあまり、ついつい食べ過ぎてしまうこと。
小学校時代の夏休み明け、母とふたり養護教諭から呼び出されたことがありました。1学期とくらべ、急激に増加した体重を不審に思ったのでしょう。
母「おやつとか、ほとんど食べさせてないんですけどねえ」
教諭「食事の量も変わらずですか? 不思議ですね……」
母「そうなんです。ああ、毎日フルーツは食べていましたけど*2」
そんなやりとりのあと、具体的に述べた果物の量に養護教諭は絶句。
「 …… フ ル ー ツ も 糖 分 で す ! ! ! ! ! 」
私が長く果物に興味を示さなかったのは、このときの一喝がきいていたのかもしれません。
印刷から生まれる化学反応 『宇野亞喜良 万華鏡』展を振り返る
『宇野亞喜良 万華鏡』展 感想
イラストレーター・宇野亞喜良にどのようなイメージがありますか?
答えはきっと様々でしょう。
60~70年代カルチャーに興味がある人は、一世を風靡したアングラ劇団・天井桟敷のポスター画家として。
麻布十番納涼まつりのチラシ・グッズ類も担当しているので、イベント情報で目にする機会もあるかもしれません。私も1度行って、配布された美麗イラスト入りうちわを今でも大切にしています。
しかし、なんといっても印象的なのは本の装画!
私にとって宇野氏は「好きな作家本の表紙を飾ってくれると嬉しいイラストレーター」のひとりでした。そして、書籍といえば印刷。
ギンザ・グラフィック・ギャラリーにて開催されていた宇野亞喜良の企画展は、単純に原画を展示するものではありません。イラストに特殊印刷をほどこし、忠実に原画を再現するのとは違う、新たな魅力を鑑賞者にみせてくれました。
今回はこちらの展覧会の感想です。大半が撮影OKだったので写真多め。
よろしければ最後までおつきあいください。
ギンザ・グラフィック・ギャラリーとは
ギンザ・グラフィック・ギャラリーは、大日本印刷(DNP)が企画・運営するグラフィックデザインの専門ギャラリーです。愛称はスリー・ジー(ggg)。
銀座通りから少し離れた静かな環境ながら、ギャラリー前に立って見渡せば文化財の銀座ライオンがすぐそばに……と絶好のアート鑑賞スポット。
過去にはひびのこづえ、マリメッコといった展覧会も開催しており、時間を忘れて楽しませてもらいました。
この記事を書いている2023年2月は「人間と動物との共存と平和」をテーマの作品をセレクトした『動物会議 緊急大集合!』が開催中です。入場無料なので、銀座散策の際にぜひどうぞ。
※日曜・祝日は休館です注意! そのぶん夜7時と遅くまでやっていますが。
新作 俳句と少女をテーマに(1階展示)
「印刷というのはイラストレーションを確実に復元するんじゃなくって、出来上がったものがよければそれが一番いい」と、昔から印刷のマジックに強い関心を示してきた宇野。本展(1階会場)では、俳句と少女をテーマにした作品シリーズ約20点を、津田淳子氏による特殊印刷設計によって、異なる表現方法を試み、新たな作品に蘇らせます。
ギンザ・グラフィック・ギャラリーHP 企画展アーカイブより引用
そんなアーティストの信条から企画された本展。コラボレーション相手の津田淳子氏は雑誌『デザインのひきだし』編集長だそうです。
訪問前に下調べを(あえて)しなかったため、特殊印刷とは何ぞや……? と好奇心いっぱいで向かいました。
1階部分は俳句と少女をテーマにした作品群。
上は新聞紙に印刷された作品。試し刷りを覗き見るような、不思議な感覚。
下の写真で少女が身体に巻き付けているリボンは、色とりどりの極小ビーズで表現されています。印刷と言うからには手作業じゃないのでしょうが、ちょっと過程が想像できません。
バラの模様が浮き出し加工されたホイルペーパーに印刷された少女像。背後の壁にも少女が描かれており、鋭い視線に射抜かれる心地になります。
素人にはわかりにくい特殊印刷について、くわしく説明したリーフレットが配布されたそうなのですが、残念ながら私は入手できず(見落としたか、閉幕近くだったので品切れしていたのかも)*1。
下記リンク先でいくつかの作品の解説が読めます。
本の小口に印刷された女性イラスト。少しずつズレて積まれていること、女性の謎めいた表情もあいまって、眺めていると不安な気分になります。
3枚目の月と少年少女、実物はもっとキラキラしていました。照明の加減でもずいぶん変わるのでしょうね。
作品から離れて撮影した1枚。壁にもぐるりと宇野亞喜良の絵が描かれています。
60年代のポスター 天井桟敷など(地下展示)
地下1階は60年代のポスターが展示されていました。
伝説の劇団・天井桟敷の公演ポスターがズラリ……。こちらの方面に疎い私ですら「あ、これ知ってる!」となるのですから、マニアはたまらないのでは。マックスファクター、越路吹雪リサイタルの広告などもありました。
街中で人目を奪う必要があるポスターの性質上、毒々しいほどくっきりとした色合いの作品も。宇野さんは作風があまり変わらないアーティストと思っていましたが、こうして新旧を並べると印象が変わります。
最後に下の2枚の写真をご覧ください。
1枚目はオリジナルのイラスト、2枚目は布に刺繍+昇華転写をほどこした「せと刺繍」という技法だそうです。布の質感と刺繍の凹凸が合わさり、作品になんとも言えない深みを与えていました。
「印刷のマジック」ってこういうことなんだなぁ~
展覧会の秘密があきらかに?「市谷の杜 本と活字館」
『宇野亞喜良展』は終了しましたが、作品の制作過程にフォーカスした企画展が「市谷の杜 本と活字館」で開催されるとのこと。
解説を見逃した私にとって大チャンス!! 会期も前期・後期合わせて10月29日までと、たっぷり余裕があります。
こちらの施設では印刷と本づくりを実際に体験したり、様々なワークショップも行われているそうです。これは1日遊べてしまう予感……! こだわりの印刷技術で作られた「紙モノ」商品もお土産として購入できるとか。
ぜひ行ってみたいと思います。訪問したらまた記事をアップしますね。
※来館には事前予約が必要です※
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
*1:解説が読めなかったぶん、想像をめぐらせて鑑賞できたと思い良しとします……
老いを感じた瞬間。たとえば白湯を手にする夜
日記 2023年2月
「ああ、自分年をとったなあ」としみじみ思う瞬間。人によって、それは様々だと思う。
たとえば豊かな黒髪に白いものを見つけたり、大好物のはずの料理が昔ほど食べられなくなったり。
『実年齢の7掛けが現代における見た目年齢である』説がまことしやかに囁かれ、雑誌では素敵なグレイヘア特集が組まれる近頃であっても、いざ自分に老いの兆候が見つかれば、やっぱり多少はうろたえるわけです。
こんな風になるとは思ってなかった。
冗談まじりに口にする言葉は、大半は自虐ネタで少しだけ本音。
このセリフは母がたまにもらす一言でもあります。おそらく、年齢が上がるごとに本音の割合が多くなっていくのでしょう。せめて自虐成分は多めでありたい……というと言い方が悪いですね、笑い飛ばす気概は持っていたいという意味です。
しおしおとしていても、誰にも平等に訪れる事態ですから。
老化を実感する瞬間の例として「白髪」「食事」を挙げてみたものの、私自身が若いころと違う自分を感じたのはいつだっただろう。
そう考えて、明白に変わったことがいくつか思い浮かびました。
ひとつめ、映画の字幕がつらくなった。
動画配信サービスで興味のある作品を見つけても、吹き替え版がないと億劫でついつい後回しにする。そんな自分に気づいたとき、愕然としました。
昔は「字幕じゃないと役者の本当の演技がわからない」なんて(さも自分に見る目があるかのように)言っていたくせに*1……。
それどころか、2時間前後じっくり鑑賞するのが難しくなっているのですよね。集中力が途切れてしまう。おかげで1話完結のドラマばかりに手がのびます、『孤独のグルメ』とか。
ここ数年、映画を観る機会がめっきり減っていたのも原因でしょう。映画鑑賞が習慣になれば、また違うのかもしれません。
がんばって字幕に挑戦するのも疲れるので、とりあえず、いま楽しめるかたちでやっていく予定。
ふたつめ、初めて白湯をおいしいと感じた。
これもなぁ、以前は「白湯を飲むくらいなら、どれだけ出涸らしでも緑茶がいい」と言い張っていたのに……。
普通においしいです、白湯。
まず、口の中を汚さない。丁寧に歯磨きしたあと、水分が欲しくなったときにうってつけ。
和食洋食、料理の種類にも左右されない。食後にお茶は淹れるけど、合間になにか飲みたーいってなりがちじゃないですか? その場合は迷わず白湯を選びます。
なにより、身体にすんなりと染み込んでいく感覚がある。
白湯を好んで飲んでいるとのインタビューを初めて読んだときは、発言者が女優さんだったこともあり、おぉ~やっぱり意識高い*2……と思ったものですが、あれは単純においしいから飲んでたのかもしれない。きっとそう。
こんな風に感じる日がくるとは、思ってなかったなあ。
白く湯気が立つ白湯をゆっくりと飲み下しながら、改めてそう考える夜。
このあいだ似たような言葉で嘆いたばかりだというのに、不思議と悲愴感はありません。
お腹に満ちたぬくもりはやがて全身をあたためて、少し幸福な気分になりました。
Twitter始めました&『宇野亞喜良 万華鏡』展に行った話(準備号)
『みのりブログ』のTwitterアカウントを作ってみました
もうちょっと、気軽にブログが書けるようになりたい!
文章を書くことに対して、どうにも気負ってしまう自分がいます。
イベント関連も扱うため不正確な情報などはNGですが、あまり考えすぎず、思いを素直に綴ってみるのもブログの醍醐味ではないか……と悩みつつ開設1年半。
気軽にというのはやっぱりハードルが高いなぁ。趣味のTwitter(オタク)アカウントですら、連投したり数週間浮上しなかったりと波があるし……とそこまで考えてハッとなりました。
そうだ、Twitterだ!!
使えそうなツールはなんでも利用してみようの精神で、ブログの宣伝用アカウントを開設しました。
宣伝アカといってもまだ手探りでの運用なので、いたって暢気なものです。更新報告と、今度ブログに書く予定のネタをちょろっと披露する程度。発信メインで交流もしていません。
たとえばこんな感じ↓↓↓
ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催されていた『宇野亞喜良 万華鏡』展へ行ってきました
— みのりブログ (@minoriblog_info) January 31, 2023
※会期は終了しています
1階は特殊印刷を駆使した作品が並んでおり、印刷でこんなに印象が変わるものなんだ……!とびっくり(さすがDNP運営) pic.twitter.com/lPXWQi5KkX
宇野亞喜良展への感想はそのうち掲載する予定です。
「このブログ、美術展の趣味は合うんだけど更新がいつも期限ギリギリなんだよなあ」
「もうちょっと情報早く知れたらイベントに行けたのに……」
そんな残念な思いをされた読者さん(ほんと申し訳ありません!)がいらしたら、ぜひTwitterのほうをのぞいてみてください。ブログよりはずっと早く情報出せると思うので。
実は昨年末に開設してました↓↓↓ せっかくの素敵な企画展、少しでも情報拡散したかった
撮影可だったのでお気に入りの写真をいくつか
— みのりブログ (@minoriblog_info) December 11, 2022
4枚目のみ常設展の展示品です
展覧会は12/17(土)まで
アクセサリーミュージアム、小さな美術館ですが見応えありますよー✨✨ pic.twitter.com/l7zYrRxSSh
フォローしなくても、気が向いたとき閲覧するだけでOK。どなたでもどうぞ。
新年(2月ですが)からの初挑戦、頑張っていきたいと思います!
行った、見た、感動した! 「わたしの2022年」美術館めぐり【特別お題】
特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと」
2022年秋、ひさしぶりに「ぐるっとパス」を利用して、興味ある美術展に行きまくりました。
しかし、最初に利用した日から2か月という短い期間であちこち回るのは、予想以上に大変……。おかげで「せっかく出かけたのに、ブログが書けない」不完全燃焼な状態に。
今回2022年の総括ができるお題があると知り、自分の日記も兼ねて投稿することにしました。
最後まで読んでいただければ嬉しいです!
※今期の販売は1/31までです! 最終有効期間は3月末と短いので、興味のある方は次年度で買ったほうがいいかと……。
『フィン・ユールとデンマークの椅子』展 東京都美術館
デンマークのデザイナーであるフィン・ユールの美しい椅子の企画展。
彼を生み出したデンマーク家具デザインの歴史も作品とともに紹介されており、知識がない私でもデザイナーごとの作風を楽しめました。
都美術館のギャラリーは毎回ちょっと変わった企画をしますね。以前記事に書いた『BENTO おべんとう展』もおもしろかったです。大行列の特別展より、記憶に残ることも多いかもしれません。
広々とした展示室に椅子がずらりと並びます。これだけ勢ぞろいすると壮観。
「ラケットチェア」命名通り、椅子の背にラケットのガットのようなものが張ってあります。座りにくくないのだろうか……。
下の写真はフィン・ユール作のソファ。
どんなに美しいデザインでも、家具はあくまでも実用品。フィン・ユール展では実際にデンマークの椅子に座って、そのデザインを体感する試みも行われました。しかも、太っ腹にひと部屋まるまるがお試しスペース!
これが楽しかったですね~!*1(座りながら「このソファ、買ったらおいくらだろう……」との気持ちがよぎりましたが)
やはり眺めるだけと使ってみるのでは、感想がまったく違います。座り心地がいい椅子はリピートする来場者も多く、空くのを辛抱強く待ったりしました。
ちょうど藝祭も開催中! しかしチケットは取れず……
しかしコロナ前とは違い、時間ごとの定員制&チケットは即売り切れ……。
敷地内にも入れなかったので展示はもちろん、迫力満点の手づくり御輿*2も見られませんでした。毎回楽しみにしてるんですが、こればかりは仕方ない。
そのかわり、学生さんたちが出店するアートマーケットはのぞいてきました!
法被姿の藝大生もちらほらと。御輿と同じくらい、学科ごとに違うデザインの法被を見るのも楽しみのひとつ。行きそびれたお祭りの空気を感じて嬉しかったです。
【2022藝祭御輿公開‼️】
— 藝祭2022 (@geisai_koushiki) September 2, 2022
2022藝祭の神輿をついに公開!!!
御輿パレードは11:00開始予定👊#藝祭2022#藝祭でふれる pic.twitter.com/guMxJFdTea
[御輿・法被パフォーマンス]
— 藝祭2022 (@geisai_koushiki) September 2, 2022
御輿・法被パフォーマンスの様子を覗き見👀
どの隊も「ふれる」から連想した御輿法被を存分に表現してくださいました👏
これより藝大へ戻ってきます🫧#藝祭2022#藝祭でふれる pic.twitter.com/XYDRf0GLMb
他の手づくり市と比較すると、自分の絵をプリントしたTシャツやトートバッグ、手染め製品などが多い印象です。定番のポーチといった布もの?は見かけず。
『キース・ヴァン・ドンゲン展』 パナソニック汐留美術館
キース・ヴァン・ドンゲン。フォーヴィスムや、海外美術館の所蔵作品としてよく出会う作家。
彼について、名前は知っていても「色彩も線もくっきりと鮮やかな、女性像が多い画家」くらいのイメージしかありませんでした。
その通りではあるけれど、ひとりの作家を年代順にみると捉え方は変わりますね。
女性の肌の表現が多彩で、とても印象に残りました。
輪郭を赤で強調すると血色のよさが際立つ。
逆に黄色みを多くすると、人工的な光源にさらされてる感じ→都市部のブルジョワをたくさん描いた画家なので、意識的かも?
……などなど、女性像へのこだわりに注目しつつ鑑賞。
花瓶に生けた花をはじめとした静物も好きです。
『メメント・モリと写真』展 東京都写真美術館
マリオ・ジャコメッリ『やがて死がやってきてあなたをねらう』
恵比寿ガーデンプレイスの夜景。
ラテン語で『死を想え』を意味するメメント・モリを題名とした収蔵作品展。
スマホで気軽に撮影できる世の中だというのに、私は芸術としての写真は見方がいまひとつわかりません。
作品の好き・嫌いすら、はっきりと感じることは稀。考えてみると不思議な話です。
しかし、今回はどうしても行きたかったのです。
なぜなら、マリオ・ジャコメッリの写真が見られるから!
マリオ・ジャコメッリ 【白、それは虚無。黒、それは傷痕】
この写真家の名前を覚えたのは2013年。場所も同じ、東京都写真美術館でのジャコメッリ展でした。
降りしきる雪のなか、輪になって踊る若き聖職者。彼らの呼気が冷たく澄んだ空気に溶けていく。黒と白の強烈なコントラスト、それでいて静けさを感じるメインビジュアル。
『神学生たち(私にはこの顔を撫でてくれる手がない)』『死がやって来ておまえの目を奪うだろう』*3『ルルド』──独特の詩的なタイトルにも惹かれました。
しかし当時の私は「写真なんて全然わからないし……」と、常設展だけ鑑賞して帰ってしまったのです。現地に!! いながら!!!!!
やはり写真の知識はゼロにもかかわらず、一緒にいた母が興味をもって見にいきました。合流後、とっても良かったと大絶賛。後ろ髪をひかれつつ帰宅しました。
時間とチケット代をケチったために大事なものを見逃した後悔は、写真集や特集記事に触れるたびに大きくなり、次の機会をうかがって約10年。
今回、長いあいだ焦がれた作品に(数点とはいえ)対面できて、ちょっと胸がいっぱいになりました。また大回顧展やってほしいなあ。
※冒頭にリンクを張った記事は2013年の展示についてですが、たいへん素敵だったので興味のある方はぜひ! 写真もたくさん掲載されています。
ウジェーヌ・アジェ、ダイアン・アーバス、東松照明(とうまつしょうめい)など
ジャコメッリの他に気になった作家の覚え書きです。
☆藤原新也
新聞の連載で名前は知っていたものの、作品をきちんと見るのは初めて。
インドで撮影した野犬に喰われる遺体の写真はギョッとしました*4
自分の好みとは少し違う。しかし、印象的なタイトルや添えられた文章から一時代を築いたのは想像できました。
☆東松照明(とうまつしょうめい)
長崎で原爆の残した爪痕を撮影した作品群に魅入られました。
一目見たら忘れられない作品『熱線と火災で溶解変形した瓶』よじれて歪にのびきった瓶は、まるで人間の内臓のよう……。鑑賞するのに覚悟のいる作風です。
☆ウジェーヌ・アジェ
こちらは竹橋の近代美術館でもよく展示されているアーティストです。
私のなかのアジェのイメージは、人影のない、白昼夢のようなパリの街並みを淡々と撮り続けた作家。
神秘的なその作風は、彼のキャリアが「画家向けの資料として写真を撮る(そのため早朝の人っ子ひとりいない街を撮影した)」ところからスタートしたためです。
でも、今回のパリの街には人が写っていましたね。これはこれで好き。
写真に疎い私でも、有名な一卵性双生児の少女の写真は知っていました。
映画『シャイニング』の双子はこの作品へのオマージュだとか。
身体的・精神的に「普通」とは著しく異なる【異形の人々】をモデルにした作品で知られたそうですが、今回の展示は印象が違いました。
寝室で着飾った未亡人の顔は感情がすっかり抜け落ちたよう。
華やかな表面からはわからない、一瞬の虚無を切り取ったような作品が多かったです。
『アーツ・アンド・クラフツとデザイン展』 府中市美術館
府中美術館には以前『ウィリアム・モリス展』で来たことがあります。
本展と共通する作品も多く、この手の企画を頻繁にやるんだな~と開催年を見てみると、なんと2013年! あれっ……そんな昔……?
タイトルの「アーツ・アンド・クラフツ」とは、19世紀イギリスで始まったデザインの革新運動。
工場での大量生産による粗悪品が氾濫する世の中に対し、伝統的な手仕事を見直し、美しく使いやすいデザインの品で暮らしを彩ろうと提案するムーブメントです。
撮影不可だったため、看板やディスプレイで伝われ雰囲気……!
☆いままでモリスのデザインを単純にキレイ、可愛い♡と思ってきたけれど、しっかり鑑賞してみたら、意外に力強く野性味があると気づきました。鳥のデザインなどで顕著です。
有名な『いちご泥棒』はインディゴ染めなのか~というのも今回の学び。褪色したのか、生い茂る蔓の印象が強いせいか、てっきり全体も緑色に染めてると思ってました。
☆モリス以外でたいへん気に入ったのが、チャールズ・F・A・ヴォイジーの作品。シンプル、かつあたたかみのあるデザインで可愛い!
『小鳥』向かい合った小鳥と釣鐘型の花が、遠目には混ざって小紋柄のように見える絵が面白かったです。タイルのデザインも素敵でしたね。
☆ジェシー・マリオン・キング
初めて知った挿絵画家。細くて繊細な線、ロマンティックな作風が印象的でした。展示がもう数点あると嬉しかったなあ。
☆世代を超えて大人気、「リバティ・プリント」のリバティ商会も数多く展示されていました。
プリントがたいへん有名ですが、今回はアクセサリーや食器なども紹介されていたのが新鮮。装飾品はエナメルで彩色が施された品が目につきました。鮮やかで華があるのに、比較的安価だったからでしょうね。
リバティ商会はブランドカラーを強めるため、作家名は基本明かさない方針とか。名も知れぬ職人たちの技に息をのみつつ、じっくり鑑賞してきました。
豆知識 商標登録はこんな時代からあったそうで……思ったより早い!
解説が非常にわかりやすく、そのためアーツ・アンド・クラフツ運動に関わる芸術家の大量生産品への敵愾心も想像することができます。
美しさにこだわれば、製品の値段は当然あがる。運動は高く評価されつつも、やはり工業化の波は避けられなかったようです。さぞもどかしい気持ちだったことでしょう。
しかし「少数のための芸術はいらない」が理念ならば、機械化が進むのは当然のこと。
機械で作られたシンプルなデザインにも美を見出すことで、モリスの理想は次世代に伝わっていきます。当初の方向とは違っても、想いは受け継がれる──幸せな運動だと思いました。
グッズが充実! お土産の一部です。
オレンジ色のしおりは、美術館の企画で作成したもの。好きなデザインのスタンプを押すだけですが、こういうちょっとしたお楽しみがあるとテンションあがりますね。
ちょうど無料観覧日だったため、子どもたちも多く訪れていました。なのに驚くほど静かで、ちょっと戸惑った私。騒ぐのは論外として、親子鑑賞会をやってる美術館もあるし、児童が多い特定の日は多少のおしゃべりは許容範囲と思っていたので……(感想を言い合うことで興味を育てる面もありますよね)
わざわざ見にくるからには、もともと美術館好きなのかもしれません。しかし黙食の影響もあるのかなあと、しばし考え込んでしまいました。
『装いの力 異性装の日本史』 渋谷区立松濤美術館
SNSで若者を中心に話題になった展覧会。Twitterなどで目にした方も多いのではないでしょうか。
少女マンガと相性がよく題材になることが多いため、私自身も楽しみにしていた企画でした。
敵を欺くため女性の装束をまとったヤマトタケルや『とりかへばや物語』、戦場で刀をふるう女武者から始まり、歌舞伎などを紹介しつつ近代~現代のゲイカルチャーや舞台、マンガにおける描写まで。
『ベルサイユのばら』の原画や、『リボンの騎士』『ストップ!!ひばりくん!』の複製原稿も展示されていました。
開催を心待ちにしていたとは言いましたが、実はちょっと気が重くもありました。以下は展示とは直接関係のない、個人的な感想です。
男性か女性か—人間を2つの性別によって区分する考え方は、私たちの中に深く根付いています。しかしながら、人々はこの性の境界を、身にまとう衣服によって越える試みをしばしば行って きました。社会的・文化的な性別を区分するための記号である衣服をもって、生物学的に与えられた性とは異なる性となるのです。(中略)
男らしさ、女らしさとは何なのか。日本における異性装の系譜の一端を辿ることで、それらがどのように表現されてきたのかということを探り、「異性装」という営みの「これまで」と「これから」について考えます。
「装いの力──異性装の日本史」公式サイトより引用
美術展のコンセプトを読んで私がまっさきに思い描いたのは、子どもたちが好きな色を選べるようになったランドセル、もしくはスカートの裾をひるがえす男性像。
男の子(女の子)だからダメ、女性(男性)ならこうするのが当たり前。そういった枷から誰もが解き放たれ、好きなものや好きな人を堂々と愛せる世界へと向かうこの時代にピッタリな展覧会だと思ったのです。
しかし現状を調べていくごとに、そんな考えはのんきすぎたのかもしれない……と暗い気持ちに。
私が想像していたよりもずっと「男性」らしさ、「女性」らしさの枠組みは強固でした。さらに、その高い壁を乗り越えようとする運動にも過激な流れがあると知り、ひたすら困惑……。
価値観がガラリと変わる過渡期に人々の対立はつきもの。とはいえ、現代はSNSなどで諍いが目に見えるのでしんどいですね。
テーマを深掘りして勝手にダメージを受けたりしましたが、展覧会自体は(身構えたような)先進性・多様性を過剰に押しだすものではなく、楽しい内容でした。
唯一写真OKだった撮影スポットでは、こんな遊び心も!
華やかに着飾ったドラァグ・クイーンのみなさん。フラッシュで撮影すると……? ↓↓↓
松涛美術館は小さい建物ながらいつもセンスのいい企画をしてくれます。今回も難しい題材だったことでしょう。これからも足を運びたいアートスポットです。
『南桂子展 透き通る森』 ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション
南桂子は詩情あふれる作風で知られた銅版画家。哲学的な風貌の少女や素朴でかわいい鳥のモチーフは、多くの人から愛されています。
夫である版画家・浜口陽三の作品を展示するミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションでは、定期的に彼女の作品展を開催しています。今回、小説家の小川洋子セレクションの南桂子作品が展示されると聞き、そちらも楽しみに向かいました。
美術館は人形町駅から徒歩10分ほど。地下鉄から地上に出たとたん、ものすごくいいほうじ茶の香り! お茶屋さんをはじめ、甘酒横丁はおいしそうな食べもの屋が多いので、散策する時間もとれると楽しいですね(私は最終日、かつ時間ギリギリだったため店を横目に走りました……)
手前のスペースは併設のカフェ。ヤマサの黒蜜風醤油を使用した自家製バニラアイスが季節のアイスと共にいただけるそうです。
小川洋子さんが南桂子作品を好んでいるの、すごく納得しました。モチーフは静かで愛らしいのに、どこか底知れない感じが小説のイメージにぴったり(何作も読んだわけではないけれど)
繊細なタッチはこぎん刺しといった刺繍を連想します。そこも気に入ったポイントかもしれません。
浜口陽三の版画も何点か展示されていました。
かつて吉祥寺美術館(浜口陽三記念室)で鑑賞したサクランボの絵は衝撃的でした。暗がりから滲み出てくるような色彩に、版画でこんな表現ができるのか!と驚いた記憶……。
暗い色調の作品が、光の反射ですこし見づらかったのだけが残念です。
下の写真は「表紙部分をくり抜いた本に、南桂子のポストカードを入れて自分だけのデザイン本を作ろう!」というお楽しみ企画。
私はお屋敷から遠ざかる鳥の絵を選びました。
題名も自由に書き込めたのですが、恥ずかしいのでスタンプぺたり
こちらの「青い日記帳」さんの記事は2021年の南桂子展について。コロナ禍で疲弊するなか、南桂子作品を鑑賞する意味を丁寧にレポートされています。
『秋のバラフェスティバル』 旧古河庭園
春に続いて、行ってきました旧古河庭園!
「秋バラは春バラと比較するとやや小ぶりの花がつく」との話でしたが、ちょうど見頃だったためか、十分に美しく目を楽しませてくれました。
今回のお目当てはバラの他にもうひとつ……
それは洋館前の広場で開催されるクラシックコンサート!
29日土曜日は「秋バラの音楽会 #弦楽四重奏」!12時からと15時から、各回約30分です。(雨の場合は中止です)秋バラも見頃で当日を迎えられそうです。バラとともに優雅な音楽もお楽しみください♪#旧古河庭園 #バラ #ツイッターで楽しむ庭園 pic.twitter.com/5kwIB1jasY
— 旧古河庭園 (@kyufurukawa) October 26, 2022
ひつじ雲というのでしょうか。青空との対比が信じられないほど鮮やかで、そんななかで演奏される弦楽四重奏。思いがけずファンタジックな体験をしてしまいました。
選曲はディズニー2曲、カノン、ベッド・ミドラーの『The Rose』(いちばん良かった)、あとは『鎌倉殿の13人』、葉加瀬太郎作品など。
演奏会は定期的に行われているようです。予定さえ合えば、是非また参加したいですね。
長~い記事、読んでいただきありがとうございました!
大寒波が各地を襲うここ数日。
けれど、春はもうすぐそこです。あたたかくなったらどこへ行こう? 2023年も(ペースはぐっと落としつつ)素敵な美術展と出会えたらいいなと思います。
こちらの記事もぐるっとパス利用で訪れた美術展↓↓↓
その「正義」は永遠か? 『いけないのファッション展』不確かな現代に問いかける
『いけないのファッション展』アクセサリーミュージアム 12/17(土)まで
毒で光るガラス、人型のアクセサリー、生き物たちの毛皮。みんなみんな文化的でオシャレだった。 ──『いけないのファッション展』広告より引用──
祐天寺のアクセサリーミュージアムで12月17日まで開催されている『いけないのファッション展』に行ってきました*1。
こちらの美術館には以前から行ってみたかったのですが、機会がなく数年が過ぎ……今回ぐるっとパスの対象施設であること、そして企画展が興味深い内容だったことからやっと訪問が叶いました。
たいへん楽しかった!!!
長いファッションの歴史の中で、当時は好ましく思われていなかった素材やテーマのもの。
反対に、時間が経つことで好ましくないとわかったり、現代の価値観では賛否両論のもの。
それらを一堂に集めて、みんなで考えてみようという攻めた展覧会です。
嬉しいことに写真撮影も可能。
会期終了まであとわずかですが、展覧会の魅力を伝えたいので記事にしてみました。
それでは行きます!
住宅街のど真ん中! アクセサリーミュージアムまでの道
すこし道順がややこしいのですが、あちこちの電柱に案内が掲載されているので迷うことはないと思います*2。
オーナーさんの自宅を改装した落ち着いた佇まい*3。
アクセサリーミュージアムは「コスチュームジュエリー」を中心に展示する美術館です。
コスチュームジュエリーとは、貴金属や宝石など高価な材料を使った装身具(ジュエリー)とは異なり、流行を重視して素材を問わず作られた装身具のこと。
高いファッション性を誇ると同時に、後世には残りづらいという悩みも。そのような性質上、まとめて鑑賞できるこちらの美術館の存在は大きいと思います。
1階 時代を彩る装身具 ヴィクトリアンからアール・デコまで
スロープを上がり1階で受付。
1階部分はほとんどが常設展で、年代ごとにアクセサリーが並んでいます。
セルロイドのブローチ。加工が容易なため繊細な品が次々と生み出されましたが、寒さで硬化する・燃えやすいなどのデメリットで衰退しました。
こうやってマネキンが実際に身につけるとさらに素敵!
最初「すごく高価な、いわゆるジュエリーとは印象が違うな~」と見ていたんですが、こうしてファッショナブルなドレスと合わせるのはコスチュームジュエリーのほうが良いかも? と思うように。
流行の最先端をおさえられるのはもちろん、軽やかで仰々しくないんですよね。ごく一部の富裕層しかできなかったオシャレが大衆にも広がる時代にはぴったりだったのかもしれません。
木が化石化して生まれる漆黒の宝石「ジェット」。英ヴィクトリア女王が愛したことで有名で、礼装用ジュエリーとして用いられます。
2階 企画展『いけないのファッション展』
2階部分がまるまる企画展のスペースです。
鉛や水銀入りの白粉、それらの中毒でボロボロになった肌・歯を隠すための華麗な扇などなど……。日本でも時代小説を読んでいると該当するシーンがあったりしますね。
すごくすごく可愛いし欲しいんですが、現在では使用禁止の染料で染められたハンカチ。そのように聞くと、鮮やかな色合いがいっきに毒々しく思えてきます。安全な素材で復刻しないかなあ。
チェコの「サフィレットグラス」制作方法が公になっておらず、妖しい色はヒ素などの猛毒を使用しているのでは?ともっぱらの噂だったとか。そんなんガラス越しでも怖いじゃないですか……。
薬物取り締まりが緩かった時代、ドラッグの計量に使われたスプーン状のネックレス。実際に使用するよりも、ファッション的な意味合いが大きかったかもしれないとのこと。
そして、こちらが企画展のハイライト!
リアルファーをまとったマネキンが、ぐるりと一室を占拠する場面です。
圧巻でした。
学芸員さんと話す機会があり(後述します)、そのときにお聞きした話です。
毛皮のマネキン群の展示室と、他の部屋の室温設定はおなじなのに、なぜか寒さを感じるとの声が多数あったそうです。
よくわかる気がします。私が鑑賞したときも他の客がおらず、しんとした室内に入るのをしばらく躊躇いました。厳粛さと不気味さのちょうど中間。
私や学芸員さんの親世代にとって、毛皮は大事に扱い、身内に伝えていく一生ものの品だったはずです。
けれど現在では賛否の否が圧倒的に大きく、代替品であるフェイクファーにも分解しにくいなど問題が山積み。
このような未来を若い母は想像できたでしょうか。
地下 華やかな時代の薫り オートクチュール~アバンギャルドまで
地下の3分の1は『いけないのファッション展』です。そのほかは常設展。
人種差別的であると問題になり、販売中止になったサンダル。
ルリカワセミの小さな青い羽をカットし、ニカワではりつける点翠(てんすい)という技法。
ペーパードレス。丈夫な紙や不織布で作られており、自分でカットして丈を調節できるうえ安価と、大量消費社会に大歓迎されたそうです。
流行が長く続かなかった理由は耐久性への不安や風で大きく広がるところ、さらには「パーティーで男性にわざと水をかけられる」被害が多かったからと知り、正直うえぇぇ……となりました。よくそんな卑劣なことを思いつくなぁ。
ここから下の3点は常設展です。
(いまさらですが……そして閉幕も近くなってブログ記事あげといてなんですが……)この美術館めっっちゃくちゃに展示数が多いので、こまかく鑑賞したい場合お時間に余裕をもって訪問してくださいね!!
ミュージアムショップが楽しい! アトリエではアクセサリー教室の開催も
【企画展】
— アクセサリーミュージアム @ 東京都目黒区 (@acce_museum) August 30, 2022
「いけないのファッション展」
2022年9月1日~12月17日#美術館 #アート #コスチュームジュエリー #アクセサリー #ファッション #展覧会 pic.twitter.com/PqQZrnwP8o
会期も残り少なくなってきた #いけないのファッション展 では、オシャレ割引として通常チケットの入館料を100円割引いたします。
— アクセサリーミュージアム @ 東京都目黒区 (@acce_museum) December 2, 2022
過度の露出や危険物などは割引対象となりません。楽しくご参加いただくためホームページの注意事項をご確認ください。https://t.co/BKsq2iTOFR pic.twitter.com/PTCqPZO6O2
美術館の地下にはアトリエとミュージアムショップがあり、アクセサリー教室も定期的に開催されているそうです。館長さんがアクセサリーメーカー大手で長年活躍された方のため、海外輸出用に制作しためずらしいパーツも豊富とか。
手づくりがお好きなら展覧会帰りに掘り出し物をさがすのもいいですね!
最後に 学芸員さんとお話したこと
スタッフはみな気さくな方ばかりで、鑑賞後に展覧会の感想を少しお話できました*4。
なにが「正しい」か、そうでないかを明言せずに、鑑賞者に考えさせる姿勢が(押しつけがましくなくて)良かったと伝えるとたいへん喜んでいただけました。
テーマがテーマなので、美術館側も迷いつつ手探りでやっている状態だそうです。SNSで紹介されお客さんが増えたのが嬉しい反面、扱いの難しさを日々痛感しているとか。
若者の無軌道な行い=パワーでもあるため、すべてを咎めるのはどうだろうか。
キャンセルカルチャーとの関連性……など、自らの不勉強を実感しつつ色々話せて楽しかったです。
『いけないのファッション展』は12/17まで! 興味があれば行ってみてください~!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
迷ったけれど買って正解! 通販生活ヒートコットンケット&ぐるっとパス【今週のお題】
今週のお題「買ってよかった2022」
ひさびさのブログ投稿です! リハビリ感覚でぼちぼちキーを打つ日々……
今年も残すところあと3週間、年内にブログ復帰したいな~と考えていたらちょうどいいお題が! 便乗させていただきます。
偶然にも「購入を迷った品だけど、買って大正解」なもの2点となりました。
買い物その① これで冬は無敵!「ヒートコットンケット」(通販生活)
よく広告で見かける雑誌『通販生活』、作家や俳優などの著名人が愛用品を熱っぽく語るので気になっていました。
ほかの通販雑誌とは違い、出版社の思想が反映された記事が多い点も個性的です*1。お試しでカタログを取り寄せたこともありましたが、注文は今回が初めて。
購入したのは発熱蓄熱綿を使用した「ヒートコットンケット」
https://www.cataloghouse.co.jp/bedding/futon/1103520.html
関東の街中在住の私ですが、火の気のない冬の室内はやっぱり寒い!
過去記事にも書いた通り「手掌多汗症」を抱えている身ゆえ、防寒対策にも工夫がいるのです。
湯たんぽは布団にはいる瞬間は極楽なんですけどね……。
そのうち熱くなる→足の裏に汗をかく→湯たんぽをとりのぞく→汗が冷えて寒くなる、冬はこの無限ループが続きます。安眠ははるかに遠い。
しかし、この毛布は寝ているあいだに湿気(汗)を吸っては熱に変えてくれるとか。
汗なら売るほどある!!!! ぜひとも使って!
藁にもすがる気持ちで買ってみました。
正直「発熱素材なんてインナーでもよく聞くし買うけど、汗をかいてもヒンヤリしない程度でしょ」と疑いつつ……だったのですが、使用して約1ヶ月、なかなか良いです!
寒がりの汗っかきによるヒートコットンケットの評価ポイントは、以下のみっつ。
700gと軽く、肩がこらない
汗問題にくらべれば些細なものですが、分厚い毛布はやはりストレスでした。
届いた当初はあまりの薄さに不安をおぼえたものの、すっかり慣れて快適に使用しています。荷物にならないので宿泊先のエアコン対策に持っていくという意見も見かけました。
このまま真冬も乗り越えられるなら、純毛の重たい毛布は処分するかもしれません。
寝返りうってもズレない頼もしさ
冬に肩がこる原因は、毛布の重さのほかに冷えもあるかと思います。
とくに私は寝相が悪いので、肩が布団から飛び出ることもしばしば。ブランケットや羽毛入り肩当てを使うと、寒くないかわりに身動きが不自由でした。
この商品はシャーリングが首元・肩口に密着するため冷気が入ってきません。
布団から腕だけを出してスマホや本を見るなんて動作をしても、余裕でフィット。
寝るまえのひと時の自由度がグッと上がりました。
汗かきの強い味方! 湿気を熱に変える「発熱コットン」
これが購入の決め手でしたね。
布団にもぐりこんでしばらくは全身が冷えているので当然寒いです。
しかし足先をこすりあわせたり、指の運動をしたりしていると、じんわり汗ばむのと同時に寒さがマシになってきます。普通は汗をかけばかくほど寝具に体熱をもっていかれ、耐えているしかないのですが。
冬場は就寝時すらモコモコ靴下が欠かせなかった私。最近あえて爪先の出たレッグウォーマーのみで寝ています。そのほうが汗を変換して早くあったかくなるのでは?と考え……。
湯たんぽの感動的なあたたかさには到底及びませんが、汗冷えの危険を避け、1度ホカホカになったら長持ちするというのが高得点!
汗で悩むお仲間にぜひ試してみてほしいと思います。
オマケ 通販生活以外では買えないの?
ヒートコットンケットは通販生活専売とのことですが、類似品がamazonなど通販サイトでも売っているのを不思議に思い、軽く調べてみました。
メーカーはロマンス小杉製とあり通販生活と同じ。重量が他社販売は1Kgと重く、繊維の割合が違ったりカラー展開が豊富だったりが目立った相違点でしょうか。
通販生活サイドは商品レビューへ「上下の端と中央のシャーリングの幅を変えて、より体に密着するようデザインした小社オリジナルの商品です」と返信しており、細部にこだわっていることがうかがえます。
比較して感想は書けませんが、値段もほぼ変わらないのでとりあえずヨシ!と考えています。
買い物その② 美術館めぐり最高!「ぐるっとパス」
ここ数ヶ月ブログを書けずにいた原因のひとつがこれ、「ぐるっとパス2022」です。
最初に利用した日から2か月間、東京とその周辺の美術館・博物館・動物園や公園などの施設に行きまくれる夢のようなパスポート!
※無料で入場できる展示と通常料金から割引になる展示にわかれます
常設展だけでなく「こんな話題の展覧会が!??」と驚くような企画に入場できたりするので、ここ数年ずーっと買いたかったのです。
しかし、2か月間でチケットを堪能するのはかなり難しい……。
自由に動ける日を確保することはもちろん、行きたい美術展の開催日が離れているなどタイミングの問題もあります。「あと1週間ズレていればこっちも行けたのにな~」と悔しいですが、なかなか上手くいかないですね。参加できたのは2014年のみ(8年前!)
そんなわけで見送ってきたぐるっとパス、今年はひさしぶりに使い倒してきました。
たいへん楽しかったです! こちらは改めて記事にしたいと思います。
ネタにするつもりが、忙しくてブログを書けないのは不本意でした。本末転倒……
ちなみに過去記事で書いたこれらの施設も対象です↓↓↓
気軽にブログ復帰記事のはずが長くなってしまいました。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
*1:ここらへん好き嫌いが極端にわかれそうですね