みのりブログ

毎日を楽しく暮らしたいのんびり者です。

印刷から生まれる化学反応 『宇野亞喜良 万華鏡』展を振り返る

<景品表示法に基づく表記>当ブログ内の一部記事にはプロモーションを含みます。

宇野亞喜良 万華鏡』展 感想 

 

イラストレーター・宇野亞喜良にどのようなイメージがありますか?

 

答えはきっと様々でしょう。

60~70年代カルチャーに興味がある人は、一世を風靡したアングラ劇団・天井桟敷のポスター画家として。

麻布十番納涼まつりのチラシ・グッズ類も担当しているので、イベント情報で目にする機会もあるかもしれません。私も1度行って、配布された美麗イラスト入りうちわを今でも大切にしています。

しかし、なんといっても印象的なのは本の装画!

 

私にとって宇野氏は「好きな作家本の表紙を飾ってくれると嬉しいイラストレーター」のひとりでした。そして、書籍といえば印刷。

ギンザ・グラフィック・ギャラリーにて開催されていた宇野亞喜良の企画展は、単純に原画を展示するものではありません。イラストに特殊印刷をほどこし、忠実に原画を再現するのとは違う、新たな魅力を鑑賞者にみせてくれました。

 

今回はこちらの展覧会の感想です。大半が撮影OKだったので写真多め。

よろしければ最後までおつきあいください。

 

 

ギンザ・グラフィック・ギャラリーとは

 

ギンザ・グラフィック・ギャラリーは、大日本印刷DNP)が企画・運営するグラフィックデザインの専門ギャラリーです。愛称はスリー・ジーggg)。

銀座通りから少し離れた静かな環境ながら、ギャラリー前に立って見渡せば文化財銀座ライオンがすぐそばに……と絶好のアート鑑賞スポット。

 

過去にはひびのこづえマリメッコといった展覧会も開催しており、時間を忘れて楽しませてもらいました。

この記事を書いている2023年2月は「人間と動物との共存と平和」をテーマの作品をセレクトした『動物会議 緊急大集合!』が開催中です。入場無料なので、銀座散策の際にぜひどうぞ。

※日曜・祝日は休館です注意! そのぶん夜7時と遅くまでやっていますが。

 

www.dnpfcp.jp

       

 

 

 

 

 

       

        

 

新作 俳句と少女をテーマに(1階展示)

 

「印刷というのはイラストレーションを確実に復元するんじゃなくって、出来上がったものがよければそれが一番いい」と、昔から印刷のマジックに強い関心を示してきた宇野。本展(1階会場)では、俳句と少女をテーマにした作品シリーズ約20点を、津田淳子氏による特殊印刷設計によって、異なる表現方法を試み、新たな作品に蘇らせます

ギンザ・グラフィック・ギャラリーHP 企画展アーカイブより引用

 

 

そんなアーティストの信条から企画された本展。コラボレーション相手の津田淳子氏は雑誌『デザインのひきだし』編集長だそうです。

訪問前に下調べを(あえて)しなかったため、特殊印刷とは何ぞや……? と好奇心いっぱいで向かいました。

 

1階部分は俳句と少女をテーマにした作品群。

 

       

 

       

 

上は新聞紙に印刷された作品。試し刷りを覗き見るような、不思議な感覚。

下の写真で少女が身体に巻き付けているリボンは、色とりどりの極小ビーズで表現されています。印刷と言うからには手作業じゃないのでしょうが、ちょっと過程が想像できません。

 

       

 

バラの模様が浮き出し加工されたホイルペーパーに印刷された少女像。背後の壁にも少女が描かれており、鋭い視線に射抜かれる心地になります。

 

素人にはわかりにくい特殊印刷について、くわしく説明したリーフレットが配布されたそうなのですが、残念ながら私は入手できず(見落としたか、閉幕近くだったので品切れしていたのかも)*1

下記リンク先でいくつかの作品の解説が読めます。

 

www.pen-online.jp

 

 

 

       

 

       

 

       

 

本の小口に印刷された女性イラスト。少しずつズレて積まれていること、女性の謎めいた表情もあいまって、眺めていると不安な気分になります。

3枚目の月と少年少女、実物はもっとキラキラしていました。照明の加減でもずいぶん変わるのでしょうね。

 

   

 

作品から離れて撮影した1枚。壁にもぐるりと宇野亞喜良の絵が描かれています。

 

 

60年代のポスター 天井桟敷など(地下展示)

 

地下1階は60年代のポスターが展示されていました。

伝説の劇団・天井桟敷の公演ポスターがズラリ……。こちらの方面に疎い私ですら「あ、これ知ってる!」となるのですから、マニアはたまらないのでは。マックスファクター、越路吹雪リサイタルの広告などもありました。

 

街中で人目を奪う必要があるポスターの性質上、毒々しいほどくっきりとした色合いの作品も。宇野さんは作風があまり変わらないアーティストと思っていましたが、こうして新旧を並べると印象が変わります。

 

        

         

        

 

 

最後に下の2枚の写真をご覧ください。

1枚目はオリジナルのイラスト、2枚目は布に刺繍+昇華転写をほどこした「せと刺繍」という技法だそうです。布の質感と刺繍の凹凸が合わさり、作品になんとも言えない深みを与えていました。

「印刷のマジック」ってこういうことなんだなぁ~ 

 

       

       

 

www.orchid.factory-shop.info

 

 

展覧会の秘密があきらかに?「市谷の杜 本と活字館」

 

 

 

宇野亞喜良展』は終了しましたが、作品の制作過程にフォーカスした企画展が「市谷の杜 本と活字館」で開催されるとのこと。

解説を見逃した私にとって大チャンス!! 会期も前期・後期合わせて10月29日までと、たっぷり余裕があります。

 

こちらの施設では印刷と本づくりを実際に体験したり、様々なワークショップも行われているそうです。これは1日遊べてしまう予感……! こだわりの印刷技術で作られた「紙モノ」商品もお土産として購入できるとか。

ぜひ行ってみたいと思います。訪問したらまた記事をアップしますね。

 

www.instagram.com

 

※来館には事前予約が必要です※

ichigaya-letterpress.jp

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

 

*1:解説が読めなかったぶん、想像をめぐらせて鑑賞できたと思い良しとします……