みのりブログ

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【おすすめアートスポット】服飾博物館「民族衣装」展へ行きました【新宿】

<景品表示法に基づく表記>当ブログ内の一部記事にはプロモーションを含みます。

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『民族衣装 異文化へのまなざしと探求、受容』展

新宿の文化学園服飾博物館で2/7まで開催していた『民族衣装』展、滑り込みで鑑賞してきました。

とても面白く、充実した展覧会でした! 余裕をもって訪問したいと思いながら、なかなか機会がなく……会期は終了してしまいましたが、その魅力を振り返りつつ博物館のご紹介をしたいと思います。

次回の企画展『ヨーロピアンモード 花 』展も楽しそうなんですよね。

毎日あたたかくなっていく季節のお出かけ候補に加えていただければ幸いです。

 

雑踏のなかの静かな空間 文化学園服飾博物館

 

文化学園服飾博物館

文化学園服飾博物館は年に4回ほど企画展を開催しており、美術ファンにはよく知られた存在かと思います。展示は所蔵品が中心。しかし戦前からの膨大なコレクションよりテーマにあわせた衣装が選ばれており、何回訪れても飽きることがありません。

新宿駅から歩いて10分程度と行きやすく、華麗な着物・ドレスはアートになじみのない方やお子様でも楽しめるのではないでしょうか。

 

東京と近郊の美術館・動物園などをおトクに楽しめるチケットブックぐるっとパスの常連施設でもあります。服飾博物館はこちらのパスのみで入場可能! 

服飾博物館の入場料500円に対し、ぐるっとパスのお値段は2500円。期限は最初に利用した日から2か月間と縛りはありますが、上手に使えばすぐに元が取れますよ(けっこうお高い料金の施設も対象になっているので……)個人的には庭園美術館がオススメ。

参加施設でめあての美術展がある方は購入を検討してみてくださいね。

 

www.rekibun.or.jp

※2022年のぐるっとパス発売は4/1からです。

 

前置きはこの程度にして、博物館へ向かいます。

公式HPには新宿駅からのアクセスのみ書かれていますが、人ごみが苦手なので無視して西新宿駅から。都庁を右手に見ながら議事堂通りをまっすぐ行けば目の前です。方角さえ合っていれば迷いようもありません。

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見事に閑散としています。人ごみがないのは助かる!



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博物館正面のポスター。写真ではわかりにくいのでチラシも掲載しておきます。

 

 

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服飾博物館の展示室は1階と2階にわかれています(順路は2階から)展示内容を順を追って鑑賞したい方は右手奥の階段を上りましょう。

「所蔵品は撮影OK」の美術館も増えてきましたが、こちらの施設は残念なことに写真NG。ポストカードやカタログが窓口で販売していますので、よろしければお土産にどうぞ。

 

『民族衣装』展の感想

現代よりもはるかに情報が少なく、海外に行ける機会も限られていた時代。異国に住む人々の風俗、とくに身にまとう衣服はどれほど人々の好奇心をかきたてたことでしょう。

『民族衣装』展では海外の知識がどのように民間に浸透していったか、4つの項目に分けて説明されていました。

 

①未知の世界への好奇心  【~19世紀末】     

②より正確な情報への欲求 【20世紀前半】

③民族衣装のさらなる探求 【20世紀後半】

④民族衣装の模倣、受容  【ヨーロッパの流行への影響】

 

①は精緻な挿絵を含む書物が中心。驚くほど詳細な内容もあれば、実在しない国の住人を描いたものもあり、まだまだ玉石混交といったところ。

 

②では「植民地政策で渡航が盛んになった」「撮影技術が進歩した」などの背景で、正確な民族衣装の記録が一気に進みます。

チラシの右上にある花の刺繍がかわいい靴、いかめしい文字のタグが付いているのが見えますでしょうか? 

陸軍被服廠の外郭団体が民族衣装を現地収集したときのタグだそうです(それらが博物館の民族衣装コレクションの基礎となったとか)

デザインの愛らしさにうっとりし、戦中・戦後の混乱期を乗り越え品物が残っていることに別の意味でため息がでました。こまかな分類は私などとても出来そうにありません。

 

③の時代になると、海外でファッション誌の撮影が行われるなどグッと身近な話題になってきます。

長びく戦争で散逸する民族衣装を調査し、収集する研究者の紹介などもありました。
衣装の絹が化繊に変わり、刺繍や装飾が簡易な機械仕立てになり……「かつての美しさが損なわれた」と言うのは簡単ですが、そのような状況でも伝統を守ろうとする姿勢にとても考えさせられました。
 
 
④は東洋の文化に影響を受けたヨーロッパのドレスを、インスピレーション元の民族衣装と合わせて展示していました。きらびやかな衣装が盛りだくさんで、いちばん人気のあるスペースだったように思います。
 
・ゆったりとして裾がすぼまったトルコのズボン→イヴニング・ドレスの裾部分に流用
 
・暑い地方のターバン→婦人用の帽子デザインに取り入れられる
 
・中国やインドネシアの竹の笠ディオールの「ニュールック」に合わせた帽子
 
・中国の宮廷服→龍の絵柄はそのままガウンにしたり、中間色に色味を変更し優しい印象の女性用ドレスにしたり
 
ジャポニズムシノワズリといった異国趣味について言葉で知ってはいても、現物を並べて見比べる経験はなかなかありません。説得力が違う……!
 
服飾博物館は展示ケースの背面が鏡張りになっており、衣装のバックスタイルも鑑賞できます。他の美術展だと「裏面が見たいのに~」と悔しく思うことが(衣装に限らず)あるあるなんですよね。じっくり見ていると時間があっという間に過ぎてしまいます。
 
 
昨今ニュースで耳にする「文化の盗用」への指摘文があったのもこのスペース。
 
例えば上記のターバンデザインの帽子は花などで飾り立てられ、元々の品よりはるかに華美になっていました。上流階級の婦人用でしょうから当然ではありますが……。
逆に砂漠の民の伝統衣装に影響を受けたと思われるコート、こちらは羊毛を脱色せず使用していました。当時の感覚では地味な印象だったのでは? 自然な色合いのままデザインに組み込んだのは元ネタへのリスペクトでしょうか。
 
過去の人々がどのように考えていたかはわかりません。こうして目にする民族衣装と洗練されたドレスはともに美しく、難しいことは考えずただ愛でたい気持ちになります。
しかし「これからの時代、深い理解と尊重がますます必要になってくる」という一文だけは忘れずにいたいと思います。
 
 
変化する現代の民族衣装の写真もたくさん展示されていました。
日本 → 浴衣の丈が短くなり、自由にアレンジされている様子
民族衣装にテンガロンハットをかぶり、いい笑顔で写真におさまるオジさんふたり
などなど…
 

 

FASHION PRESSさんの記事で展示品の写真がいくつか見られます。よろしければどうぞ。

www.fashion-press.net

 
『民族衣装』展では感染症予防のため臨時休館日が何度か設けられていました。
次回展示でも状況は変わらないと思われるので、お出かけ前に公式HPの確認をお願いします。
 
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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次回展示『ヨーロピアンモード ── 花 ──』は上の衣装をイメージしてください。
 
 

 
 
 
 美術関係の記事はこんなものも書いています。お土産で買うポストカード大好き!