『「罪と罰」を読まない』感想 【ぼちぼち晴耕雨読】
<景品表示法に基づく表記>当ブログ内の一部記事にはプロモーションを含みます。
読書感想 2023年 7月
コロナ罹患後、約1ヶ月。いまだに咳止めと痰切りの薬は手放せないものの、ようやく日常生活が戻ってきました。
闘病中に困ったことのひとつが、集中力がまったく続かないこと。簡単な家事をやるのもひどく疲労してしまう。
それならば、いっそ休養ついでに読書三昧しよう!
私の思惑をよそに、小説もマンガも、雑誌をパラパラと眺める作業すら怠くてできない。こんなはずではなかった……。
ブログ復帰後に思いました。
「もっと気軽に文章を書けるようにしたい」という今年の目標に沿って、読書感想も簡略化していこう。
もともと読むのが遅いうえストライクゾーンが狭いため、この感動を伝えたい!と奮い立つほど気に入る本はごくわずか。さらに気合の入った記事を作成していたら、年に数本もアップできない。
そんなわけで、ちょっとした読書メモのようなものもブログに綴っていくことにしました。
シリーズ名は【ぼちぼち晴耕雨読】(良いのが思いつかず……そのうち変えるかも)
よろしければお付き合いください。
『「罪と罰」を読まない』小説のプロ4人が披露する“バカ日本地図”ロシア文学版
映像化多数の人気小説家・三浦しをん。
エッセイ集も手がける翻訳者・岸本佐知子。
ふたりユニット「クラフト・エヴィング商會」名義のほか、個人でも活躍する吉田篤弘、吉田浩美。
とある宴席の片隅で、いわば「本のプロ」であるこの4人が、名作小説『罪と罰』を読んでいないと判明したことからこの企画はスタートしました*1。
主人公はラスコなんとかいう長い名前。老婆を殺すんでしょ? ソーニャって女の人が物語のキーポイントなのは知ってるんだけど。
きわめてあやふやな情報を持ちより、「読んでいない小説の読書会をする」──これが本書のコンセプトです。
未読の本をどうやって語るのか。粗筋すら推測の状態で、登場人物の心理に迫り、作者の意図を読み取ることははたして可能か。
そんな実験的(ある意味で)な作品でした……いや、なんなんだ一体。変な本。
まさかしょっぱな島耕作が出てくるとは思わなかったよ
座談会メンバー全員が舞台となるサンクトペテルブルグの知識も曖昧なため、三浦氏の『社長島耕作*2』ロシア編のサンペテ情報を手がかりに現地の気候や雰囲気を想像していきます。この時点ですごい。手がかりの糸が細すぎる。
一応「ひとつの章につき3回まで、適当なページを1枚選び朗読して粗筋を推理する」のは許されているのだが、中途半端な情報はかえってメンバーを混迷させました。
なつかしいですね、バカ日本地図。本人たちはいたって真剣なぶん、積み上げられていく想像上の日本地図(この場合『罪と罰』)のトンチキ具合におかしくなってしまう。
ミリしらお絵描きはTwitterでオタクアカウントを持っていると、1度は目にしたことがあるはず。名前の響きだけで似ても似つかない姿にされたり、見た目で「すごく活躍するキャラに違いない!」と描いたら、実際はそうでもなかったりする。
本書でも、モブに毛の生えたようなキャラが(思わせぶりなシーンに朗読があたったため)めちゃくちゃ重要人物のように語られました。
メンバーが女3男1なので、女性陣の存在感が強いなぁというのが読み終えての感想。テンションが終始、とっても高い……。
座談会終了後、『罪と罰』を読んだ4人はあらためて集まり語り合うのだけど、そこではスヴィドリガイロフが女性たちに大人気でした。でも私、なぜか三浦しをんさんの小説キャラクターにハマれたためしがないので、おそらく『罪と罰』を読んだら別の感想を抱くと思う(今さらですが自分も未読です)。
吉田篤弘さんの着眼点や語り口にいちばん好感を持ちました。昔いくつか読んだきりのクラフト・エヴィング商會の作品、また手にとってみたいです。
おまけ
ドストエフスキーというと、まっさきに頭に浮かぶのがこちらの方。
『日出処の天子』『ポーの一族』などのレトロ少女マンガを初めて読むTwitter実況まとめが有名ですが、ドストエフスキー愛読者として初心者向けの紹介をいくつも作成されています。
どちらも勢いがあって面白い! 『「罪と罰」を読まない』が楽しく読めた人なら親近感を覚えると思うので、機会があれば読んでみてください。
ドストエフスキーの二次創作してるドスヲタ、よく「存在したんだ😂」と言われるけど割と存在してるよ コミケでは0〜3サークルぐらい
— カラマーゾフの犬 (@karama_kurumi) August 13, 2021
中国では12人ぐらいいるらしいし、台湾では1人しかいないらしいけど(界隈狭すぎて数えられる)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
※今週のお題「読みたい本」に投稿したかった題材です。
「読書感想」カテゴリではこんな記事も書いています