コロナ禍で美術館に行けないから、お気に入りのポストカードを蔵出ししてみた その1
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美術館のお土産=ポストカード!の私。長年のポストカード愛を語ります。
めっきり涼しくなった毎日、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
9月いっぱいで緊急事態宣言が解除されるとの報道に、胸をなでおろしております。それでも気軽に外出はしにくい状況、仕方ないことですがストレスがたまりますよね。大好きな美術館にも、下の記事に書いた「もしも東京展」以降は一度も行けていません。
せめて気分だけでも美術館めぐりを味わいたい!ということで、過去にミュージアムショップで購入したポストカードを整理することにしました。片づけにもってこいの気候ですし、自分でも驚くほどの量になっていたので……。
第一弾の今回は、いわゆる「有名どころ」ではない、ちょっと変わったポストカードをご紹介します。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
THE SAPEUR(ザ・サプール)コンゴで出会った世界一おしゃれなジェントルマン
SAPEURと呼ばれる人たちを、その生き方を、初めて知った思い出深い展覧会。
2016年と2017年連続で百貨店のイベントスペースで行われ、場所柄もあってか大変にぎわっていたのを覚えています(写真撮影可だったのも大きいかもしれません)
サプールとは、コンゴ共和国・コンゴ民主共和国で1970年代から続くファッション文化を楽しむ人たちのこと。
抜けるような青空の下、鮮やかなハイブランドのスーツで着飾りポーズを決めるサプールたち。着物という文化を持つ我々は、斬新な色合わせ・柄と柄の組み合わせには慣れているはずですが、それでもサプールのファッションには驚くことばかりでした。
彼らの姿はシュールで爽快で、一度見たら忘れられない感動を残します。
文化が生まれた背景についても触れなければいけません。
平均月収3万円という厳しい生活や、度重なる内戦といった政治状況のなかでサプールを続けるには、何よりもまず「平和であること」が重要なキーワードになります。
戦争になったらファッションどころではないですものね……。
「3日ほどで帰れると思っていた。」と題したパネルに記された体験談は、いま思い出しても苦しくなります。略奪に遭わぬよう庭に穴を掘り衣服やアクセサリーを埋めて逃げ、1年後に帰還したときにはすべてが朽ち果てていた話。
サプールが周囲の人々から尊敬される一番の理由は、洒落者だからでも高い服を買えたからでもなく、平和を伝えるメッセンジャーであるからなのです。
2017年の展覧会では、コンゴ共和国とコンゴ民主共和国の流行の違いも知ることができました。カラフルでエレガントなスーツを好む地方がある一方で、ヨウジヤマモトのモノトーンを熱烈に愛する人々もいるのですね!
そういえば、一緒に行った家族はゲストで来日したのだろう本物のサプールをお見かけしたとか。いまだに羨ましくてなりません。
またやってくれないかなぁと強く思っている展覧会です。
鹿島茂コレクション2 バルビエ×ラブルール展
フランス文学者・鹿島茂氏の愛蔵コレクションを紹介する展覧会の第二弾。
挿絵画家もファッション画も好きで、機会があれば出向いている私。そのせいか同じ出身地の画家ふたりの展覧会でありながら、バルビエの方しか記憶がありません(なにせ10年近く前のことなので…)
70年代のレトロ少女漫画ファンとしては、山岸凉子先生の絵に通じるものもあってドキドキしてしまいます。アール・デコの空気を堪能できるいい美術展でした。
この展覧会、図録を買ってきても良かったかもしれない。挿絵は細かいので、ガラスケース越しだと細部がわからないんですよね。
私は図録をほとんど買わず、もっぱらポストカード派なんです。高価だ、かさばって収納場所がないと理由はいろいろありますが、なにより「実物を見たときの感動が上書きされてしまう」のが嫌で。
絵画、とくに美術館の高い天井ギリギリのスペースまでを占める大作の場合、その大きさだけで鑑賞者を圧倒するパワーがあります。それが大判とはいえ書籍の中におさまってしまうと…………「目に焼き付けたイメージを大事にしたいし、購入は見送りかな」となってしまう。(映画館の売店と同じく、図録が大事な収入源かもしれないと気にはなるのですが!)
その点ポストカードは小さいことが前提の商品ですし、印刷で細かい部分が出ていなくても落胆しない。記念の品としてはピッタリなのです。
でも、後々このように後悔するパターンもあるので難しいですね。
大正イマジュリィの世界展
渋谷区の松涛美術館で開催された展覧会。
イマジュリィとはイメージ図像を意味するフランス語で、「装丁・挿絵・ポスター・広告など、大衆的な複製図像の総称」とのこと。芸術として飾られる作品群とは対極にあるもの、という理解でいいのでしょうか。
全館が好みの作品でいっぱいの夢のような空間だったのですが、とりわけ衝撃的だったのが橘小夢の作品。ポストカードでこの迫力は伝わらないのがもどかしいです。
左の作品のタイトルは『嫉妬』。
双六遊びのあとでうたた寝をする正室と側室という物語を知ると、もつれあう髪の毛が不気味ですね。ふたりの寝顔は穏やかなぶん、よりいっそう凄みがあります。
イマジュリィ展の数年後に開催された橘小夢展、私は行っていないはずなのに作家名が記憶に刻み込まれているのも納得の作品。またじっくりと鑑賞してみたいものです。
余談ですが……松涛美術館はいいですよ! 建築がまず素敵、女性が好みそうな企画が多い、そのうえ区立のため入館料が安い!!
シンガポールのプラナカン(中国やインド系移民の子孫)女性がまとう民族衣装「サロンクバヤ」を展示した展覧会など、いま思い出しても最高!の一言。渋谷繁華街の人ごみを我慢して行った甲斐がありました。
サロンクバヤ:シンガポール 麗しのスタイル Singapore, Sarong Kebaya and Style|渋谷区立松濤美術館
お近くの方、興味があるイベントがあればぜひ。
【おまけ】ポストカード、どう飾る?問題
大量のポストカードを整理していると、どうしても考えるこの問題。
個人的には「見たいときに見られればいい」ので、作品傾向ごとにポストカードホルダーに収納で十分です。ですが、こんな面白い商品もあるんですね。
それでもわたしは、ミュージアムでポストカードを買う|フェリシモミュージアム部™|note
「おうちミュージアム 額縁柄のきせかえポストカード袋セット」をつくった話。|フェリシモミュージアム部™|note
フェリシモ・ミュージアム部の「中のひと」のコメントはどれも頷けるものばかり。ちょっと興味があります。
次回はまた違った雰囲気のポストカードをご紹介したいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました!