みのりブログ

毎日を楽しく暮らしたいのんびり者です。

こんな「カワイイ」見たことない!『上野リチ展』のすすめ(~5/15まで)

<景品表示法に基づく表記>当ブログ内の一部記事にはプロモーションを含みます。

『上野リチ ウィーンからきたデザイン・ファンタジー

 

4月の半ば、三菱一号館美術館で開催されている『上野リチ』展へ行ってきました。

 

JR東京駅から徒歩5分と好立地の三菱一号館は、日本であまり知られていないアーティストの紹介が上手なイメージがあります。*1リチ展も例外ではなく、毎日大盛況が続いているようです。

上野リチの名前すら知らなかった私。広告で見かける作品の豊かな色彩・自由自在な魅力に、これはぜひ鑑賞しなければ!と足を運びました。

 

 



 

上野リチ 本名フェリーツェ・リックス

19世紀末ウィーン生まれ。「ウィーン工房」にデザイナーとして在籍。

身近な自然や動物をモチーフとした作品を次々と発表する。

 

のちに日本人の建築家・上野伊三郎と結婚。

夫の生まれ故郷である京都とウィーンの往復生活を送り、ウィーン工房を退職後は拠点を京都に移し、美術大学の講師なども務めた。

 

展覧会で印象に残っているのは、なんといっても見ている人々の間に流れる幸福な空気です。

お客さんから「かわいいねぇ」としみじみした呟きを何度聞いたことか。

種類豊富なグッズの販売や「ウィーン生まれのカワイイです」(リチ展キャッチコピー)を考えると、訴えかけたい層にしっかり届いた結果が現在の人気でしょう。

会期は残すところあと半月、もっとたくさんの方々に見てほしいと思います。(5/15まで)

 

リチ展のこまかな感想あれこれ 

 

日本の「染型紙」が西洋のテキスタイルデザインなどに影響を与えたのは有名な話です。リチ展でも型紙と、それにインスパイアされた作品の両方を展示していました。こういった紹介の仕方はわかりやすくていいですね。

ひとつの文化が海を渡り、また別の魅力をもった芸術へと変わっていく様は感動的でした。

 

三菱一号館では10年ほど前『KATAGAMI展』という企画もやっていたので、得意なジャンルなのかもしれません。

www.axismag.jp

 

・上野リチが活躍していたウィーン工房のアーティストの作品も多数展示。

優美な曲線を使用したデザインで流行をつくったダゴベルト・ペヒェ、リチの実妹であるキティ・リックスの陶芸作品も大らかな明るさが素敵でした。

 

・テキスタイルデザインの他、七宝細工の箱やマッチ箱カバーも小さな宝石のようで見入ってしまいました。煙草は大の苦手だけれど、あんなの見たら欲しくなってしまう……!

 

京都市美術大学(現・京都市立芸術大学)で教鞭をとっていたリチ。

他者や過去からの「模倣」を否定し、拙くとも自分の表現をするようにと学生たちに教えていたそうです。よその影響が見てとれる作品には、かなり厳しい態度だったとか。

若いうちは難しいんじゃないかな~、勉強していくうちにオリジナリティが出てくるのでは……と考えこんでしまいましたが、発展途上の若者だからこそ自戒が必要ということなのかも。

 

・戦時下の日本で、外国人でありながらデザインの仕事をしていた事実にも驚き。しかも、こんな夢いっぱいの作風!

 

 



 

【オトクな鑑賞方法 マジックアワー・チケット】

三菱一号館美術館は、毎月第2水曜日に「マジックアワーチケット」が利用できます!17:00以降に限り適用 : 1,200円(一般1,900円)

 

①利用する場合は必ず事前に「Webket」でチケットを購入する必要あり(実施月の1日10:00から販売開始)

②上野リチ展については支払い方法はクレジットカードのみ

③入場は17:00以降、30分間隔で割り当て(早い時間帯に入場できるチケットは早々に売り切れる)

 

……などなど制約はありますが、かなりお得な料金で入場できるチャンスです。

浮いたお金でグッズが多く買える! 平日休みの方やお仕事帰りに寄れる方は検討してみてください。

 

チケット&アクセス|上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー|三菱一号館美術館(東京・丸の内)

 

 

おまけ 『私の家では何も起こらない』(恩田陸)上野リチ装丁に関して

 

私は今回の展覧会で初めて上野リチに出会いましたが、その優れたデザインはすでに世間に浸透していたようです。

恩田陸さんの小説『私の家では何も起こらない』のカバーに「壁紙:そらまめ」が使われていました。

※以下はブックデザイナー名久井直子さんのインタビュー記事

mimt.jp

 

「私の家」=丘の上の幽霊屋敷。
そこで繰り広げられる時代も語り手も違う物語が頭のなかで渦を巻くような、不思議な作品でした。

それぞれのエピソードが繋がる読み心地が、蔓の描かれた装丁とよく似合っています。興味のある方はどうぞ鑑賞後に読んでみてください。

 

リチのデザインは色違いでいくつものパターンが存在しますが、この「そらまめ」も配色でずいぶんと印象が違います。

美術館公式Twitterアカウントでは見比べられるよう複数掲載してくれていますよ。(そして、確かに私もこれはえんどう豆じゃないかと思う)

 

 

幸いなことに週明け3連休はお天気のようですね。お出かけの参考にしてもらえたら嬉しいです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

 

*1:2009年に上野夫妻の企画展が目黒区美術館で開催されたそうですが、残念ながら知らず……