昭和にタイムスリップ『ニッポン国おかんアート村』展へ行ってきた【渋谷】
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『ニッポン国おかんアート村』展【渋谷公園通りギャラリー】
またしても期日ギリギリですが『おかんアート展』行ってきました。
(展示は4/10夜7時まで)
不器用なくせに、刺繍・キルト・レースなど「女性の手仕事」*1とされてきたジャンルが好きな私。面白そうな展示がやっていると聞き、大勢の人でごったがえす渋谷へ意を決して向かいました(人ごみ苦手)
渋谷駅を出て右手にマルイ、左手に西武を見ながら進み、タワーレコードの角で左に折れます。坂道をすこし行くと壁に何枚ものポスターが。わかりやすい!
公園通りギャラリーは初めてだったのですが、パルコのすぐそばなんですね。
ギャラリーは勤労福祉会館の1階にあります。アール・ブリュット等の展示も多いとのことで、「専門的な教育を受けた美術ではない」という共通点から開催に至ったのかな?と推測。
入り口で注意点を聞き、展示室へ(写真撮影はOK、動画はNG)
見たことある!! 1歩足を踏み入れれば、そこは懐かしい世界
見出し通りです。あの頃、あの時代にタイムスリップした気分。
せっかく撮影可なので写真を見てもらったほうが早い、どんどん行きます。
トップバッター・キティちゃん(仮)紙細工
小物入れ? 鶴の背中と羽の間のスペースに飴ちゃんなどを収納するのではと予想します。折り目が美しい。
材料の説明がなかった気がするんですが、家族に写真を見せると「タバコの包装紙でつくるやつ」と即答。意外とメジャーな品なのかも。
地元ファンシーショップの店先のようで、見てるだけで楽しい。やはりここでもキティ(仮)強し。サンリオは著作権が厳しいのでは……とちょっと心配になりましたが。
おかんアートと呼ばれるジャンルは、経験上「まず自分の楽しみとして、徐々に家族や友人知人への手土産として洗練されていく」イメージがあります。世代を超えて愛されるキャラクターは、子どもや孫への贈りものにピッタリなモチーフだったのでしょうね。
勝手に「ふわふわ野菜スティック」と命名しました。かわいい存在が器にぎっしり。カラフルな後方のアマビエさんが世相を反映しています。
華やかなこちらは「ソープバスケット」といって、虫ピンをうまく使いリボンや造花で石鹸を飾ったオブジェです。爆発的に流行していたものの、素材が素材なので今ではほとんど残っていないとか。確かに私も見たことがありません。タンスのなかに良い香りのソープを入れる習慣はあったんだけどなあ。
いたいた。覚えてるわ、この金魚!
祖母がご近所さんからいただいた経緯だったような……かなり長い間いっしょに暮らしました。
今回驚いたのは、この金魚が手芸キットとして売られていたこと。その素朴さゆえに、口伝えで手芸好きに受け継がれてきたものかと想像してたんです。考えてみればキットは絶対にあったほうがいい。最初のハードルが低ければ初心者に優しく、挑戦しやすいですもんね。
このあたりからは「おかんアート」というより手づくり市やデザインフェスタといった感じ。もともと境目は曖昧なように思いますが、定義はどうなんでしょう。廃物利用の有無とか? それも時代や作風によって違ってくるはず。
布ぞうり、いいですよね。指がのびのびして大好きなんですが、Tシャツやハギレを使用したぞうりを買っても汗かきな私の足に負け、すぐ寿命になるのが残念。いっそ自分で作り方を覚えるべきなのか……。
本展覧会でいちばん好きだった作品は、森敏子さんの陶芸シリーズ。やさしい表情の犬や牛が愛らしく、そっと撫でたくなってしまいます。※禁止事項なので叶わず
根付のついたパンダは差し上げたおばあさまが手に握って眠るのだと作者インタビューで知り、ほのぼのしていたら「愚痴を言って聞かせている」とのオチが。いやいや、適度に愚痴や弱音を吐くのも大事ですよ。作品に人をリラックスさせる力があってこそだと思います。
特別展示『おかん宇宙のはぐれ星』
ギャラリーは3つのスペースにわかれており、『おかん宇宙のはぐれ星』は「おかんアートにかぎりなく近くありながら、独自の表現を展開する孤高の表現者」紹介とのことです。
現代美術に疎い私には、何をもって「独自の表現」とされているのか明確にはわかりません。けれど他の展示品と同じように、しっかり楽しませていただきました。
特別展示3名のうちのおひとり、荻野ユキ子さんの作品。
荻野さんは高田馬場にある名画座・早稲田松竹の清掃係であり、館内やトイレを自作のオブジェで飾る「アート担当」でもある方です。
実は私、早稲田松竹には過去何度か足を運んでるのですが、オギノさんの作品を見かけた記憶がなく……! 上映時間の合間で急いでいた&行かなくなってからHPで存在を知った、が理由だと思います。
こうして改めて拝見すると、ノスタルジーを感じる小さな世界が本当に素敵。草むらとか、お弁当に使うバランですよ! 次回映画館を訪問するときは必ずチェックします。
↑こちらで荻野さんの作品一覧が見られます。
「おかんアート」展は4/10まで。入館料無料・夜7時まで開催しています。日曜、渋谷に用事のある方はぜひどうぞー!
おまけ 「おとんアート」もいい味だしてます…我が家の場合
私の母は「おかんアート」的な手芸はしない人です。手先は器用で、既製服の種類が少なかった世代のために洋裁もできますが、必要に迫られての側面が強いと思います。
父に編んだセーターや赤ん坊の私に作ってくれたぬいぐるみも真っ当に(?)可愛く、やりすぎじゃない?というおかんアートに感じる過剰さ・暑苦しいほどの熱はありません。おかげで現在でも部屋に飾ったり着たりできるわけですが。
代わりにおかんアートを凌駕する異質な物体をつくるのが、我が父。
亡き愛犬をモチーフにした粘土細工です。
いかにも老犬でしょう? でもこれ、まだピカピカ毛艶の成犬時代に作られたものなんですよ……。
実際の犬の写真がこちら。
仔犬なので毛が短くぽわぽわしているものの、全体から受ける印象はずっと変わらなかった美犬です。それをあんな魔改造されて……。
父は絵を描くのが趣味なのですが、なぜか女性や子ども・動物といったモチーフが大の苦手。可愛げのかけらもなくなってしまうんです。就学まえの娘(私)を老婆のように描いたのは親戚中の語り草。
でも意外に気にいってるんですよね、この粘土人形。処分しようとするたびに「味があるからいいっか!」と生き延びてきた犬(粘土製)せっかくなのでブログでお披露目しました。笑っていただければ嬉しいです。
*1:訪問後、展覧会の趣旨にかなりの批判があったことを知りました。……が、私自身が消化しきれていないため当ブログでは触れません。公表されたものにさまざまな意見が出るのは健全だと思います。同意できるかは別として。