現代アート初心者におすすめ! 『荒木珠奈展 うえののそこから「はじまり、はじまり」』
荒木珠奈展「うえののそこから はじまり、はじまり」開催中~10/9(月・祝)
東京都美術館で開催中の荒木珠奈展へ行ってきました。
正直、現代美術ってよくわからないんだよなあ……
しかし、この展覧会については心配ご無用! 作家名も知らぬまま、チラシを見て「かわいい!! 行ってみたい」と直感で行動したのは正解でした。
公式サイト
https://www.tobikan.jp/hajimarihajimari/
東京都美術館の企画展についてはアタリが多く、行列する特別展より好きかもしれません。数年前の『BENTO おべんとう展』をはじめとして、記憶に残るイベントがいくつもあります。
おべんとう展について触れた記事
館内は写真撮影OK。鑑賞者参加型の作品が多いせいか、スタッフの方が一般の展覧会にくらべ多い印象です。要所要所で解説をしてくれるので、わからないことがあれば聞いてみるのもいいでしょう。
遠目にもカラフルな上記作品は『詩的な混沌』、カラーセロファンを貼られた紙製ボックスの中身は裸電球ひとつ。
1枚目の写真で手前にうつる舟?手押し車?は別作品なのですが、『詩的な混沌』といっしょに撮れてお気に入り。よるべない星々と、そこへ向かう船のようで。
きれいだなーと眺めていたら、スタッフさんが「新しいランプを増やしてみますか?」と声をかけてくれました。
自分の好きなランプを選べるけれど、暗がりなので電球の色やボックスの模様はコンセントにさしこむまでわかりません。ワクワクしながら明かりをともすと、こんな感じでした。
(1枚目)紙製ボックスのランプ、私が選んだのはこんな柄でした。 pic.twitter.com/ToG4Rsvg8o
— みのりブログ (@minoriblog_info) September 19, 2023
落ち着いた緑の背景がシックなバラ模様。
電柱から線をひき、電気を盗んで暮らすメキシコ貧民層の暮らしから着想を得た作品だそうです。違法行為なのはもちろんのこと、そうせざるを得ない環境を考えるとランプの美しい輝きも少し違って見えてきますね……。
『うち』と名付けられた作品では、壁一面に白いベニヤ板の小さな箱がとりつけられています。その数、なんと100個とか!
南京錠がかかったそれらの白い箱は、いくつかは閉ざされ、いくつかは開いて光をふりまいています。
「気になる箱があったら番号を教えてください」とスタッフさん。迷いつつ選び、南京錠の番号を告げると、鍵が手渡されました。不器用なので箱を壊さないよう慎重に鍵をまわし……。
団地住まいだった荒木さんの思い出から作られた本作。『詩的な~』のように感銘を受けはしなかったものの(中には版画作品があると聞いてたけれど、よく見えなかった)コンセプトが素敵。
鑑賞方法がわからないなりに、社会的意義のある作品群もゆるく楽しませてもらいました。
ここからはサーカスや昔話をモチーフにした版画作品などです。
版画なら私にも(良さが)わかる!
『花散らしの雨』俯瞰した構図と傘の鮮やかな赤い色、周囲を舞う花びらが印象的な1枚。
立体作品もいくつかありました。
『遠野物語』和紙とニスでできた山のなかには明滅する電球が。明るくなると和紙ごしに焚火を囲む人や動物などのモチーフが浮かび上がる仕掛け。かわいい&楽しい! つい時間を忘れて長居してしまいました。
最後は本展覧会の目玉であろうインスタレーション『記憶のそこ』です。
この大きさ! 間近で見ると迫力でした。
『記憶のそこ』は内部に入って鑑賞することもできます*1。
巨大な鳥籠と見えた物体は、空洞の内から見渡すと恐竜の骸骨にも思えました。大きな生きものに飲み込まれたような、不思議な感覚。これは小さい子すきだわ絶対……。
会期終了まであと半月弱、機会があれば足を運んでみてくださいね。
10/1(日)は都民の日、どなたでも無料で見られます!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
「美術展・展覧会」関係はこんな記事も書いています
*1:安全のため入場は1人ずつ、隙間から出入りするのは厳禁
夏の最後に 藝祭2023レポ【X(旧Twitter)より転載】
藝祭 2023年9月1日~9月3日
藝祭へ行ってまいりました!
昨年は時間指定チケットを買えた人のみ入場可、それ以前はコロナの影響でオンライン開催と、なかなかハードルが高かったイベント。数年ぶりに訪問できて感動です。
新たな試みとして、今回はSNSに投稿した内容を中心に記事を書いてみました。普段の記事よりも簡素ですが、現地の雰囲気を想像しつつ、さらっと読んでいただければ。
遅ればせながら……先週末に藝祭へ行ってきました!
— みのりブログ (@minoriblog_info) September 8, 2023
日時指定チケットが気づいたときには売り切れており涙した(瞬殺だったらしい)あれからもう1年か〜。
今年は制限もなく、たいへん盛況でした。 pic.twitter.com/6uOLCOq62z
私が参加したのは最終日。雨を心配していたのが嘘のように、陽射しがさんさんと降りそそぐ暑い日でした。
法被が売っているの初めて知りました! 御輿と同じく、学科ごとにデザインされる法被も藝祭の楽しみのひとつ。去年は展示を見られなかったので、学外のアートマーケットで法被姿の学生さんに遭遇すると嬉しかったです。
当時の感想ブログ
最大のお目当て、藝祭名物の神輿。
— みのりブログ (@minoriblog_info) September 8, 2023
こちらは狛犬モチーフ。
発泡スチロール製というのが間近で見ても信じられない。迫力! pic.twitter.com/WTvDMpWAr1
神輿はいくつかの学科の合同で作られ、今年は4基がお披露目。
— みのりブログ (@minoriblog_info) September 8, 2023
初日の神輿パレードでサンバ隊と共に上野公園を練り歩きます。
残念ながらスケジュールを調整できず、今回は見物叶わず……😭展示でも十分ステキではあるけど! pic.twitter.com/CRA6xhkxfC
1枚目の龍は模型。 パレードで「上野6丁目商店街連合会賞」を受賞した神輿は、最終日に街でパフォーマンスを行うため長時間お留守なんです。 戻ってくるかなと待ってみましたが、体力が限界だった(帰宅)
御輿の制作過程は公式アカウントで公開されています。
造形追い込みかけてます!
— 2023藝祭 彫刻/先端/音環/器楽/管楽 (@senkanchoonpi) August 28, 2023
もうすぐ色塗りです!
あと少し!頑張ります!!!
#藝祭
#藝マッキー2023 pic.twitter.com/JwFJB3l0mN
イベント終了後、買い手があらわれなければ御輿は処分されるそうで……。サイズがサイズなので、立候補する人も少ないのでしょうね。
自分の体調や混雑具合を考え、かなり絞って鑑賞しました。主にデザインと染色関係。
— みのりブログ (@minoriblog_info) September 8, 2023
まずはかわいい作品ばかりを💕
1枚目、ウサギかと思いきや前にまわっても顔がない。なにか親近感を覚えるポーズ……。大理石と羊毛でできているそう。 pic.twitter.com/Ik8c9CsfhJ
頭部なしウサギ(仮)の作品名は『ねそねそ』、ああ~~なるほどピッタリ。
「KAKULETTER」という手紙のデザイン。
— みのりブログ (@minoriblog_info) September 8, 2023
模様のなかにアルファベットが隠れているの、わかりますか? pic.twitter.com/lZMgN0rmfc
汗っかきの苦悩をラップ?にのせて切々と歌い上げる映像作品を、これ私じゃん……と眺めてきました。
— みのりブログ (@minoriblog_info) September 8, 2023
写真はその歌詞が書かれたインパクト最高のTシャツ &タオル。 pic.twitter.com/mAj1AEEnqo
読者さんの大半はご存じないと思いますが、当ブログは「汗に悩む人向け」の記事もいくつかアップしています。
そんな私には正にうってつけの展示! 長々と見ていたので、やや不審者だったかもしれない。
この夏よく読まれた汗関係の記事
手掌多汗症について
友禅染めのお着物。
— みのりブログ (@minoriblog_info) September 8, 2023
ポップかつ美しい、そして背守りの位置に瞳がある……!(魔除け効果すごそう)
ろうけつ染めの傘もなんて華やか。目を奪われます。 pic.twitter.com/BpcvNgBOX2
背紋ではなく「背守り」だ!ととっさに浮かんだのは、昔LIXILギャラリーで開催された企画展が素晴らしかったからでしょう。魔は背後(背中)から忍びこむと考え、悪しきものを退けるために子どもの着物につけたお守り。
いちばん好きだった作品はこちら。
— みのりブログ (@minoriblog_info) September 8, 2023
染色したニット素材と3Dプリントをあわせた「花」
和菓子のような優しいかたちと色合い。かわいらしい……とため息がでる。 pic.twitter.com/ecm9DZdU1x
説明を読んでも制作手順をぼんやりしか理解できませんでした。 私の認識より3Dプリントがはるかに進化してるんだろうなー。そのうちパッケージなどで商品化するかもしれないと楽しみにしています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
光さす邸宅で楽しむガラス芸術 『フィンランド・グラスアート』展
『フィンランド・グラスアート』展 東京都庭園美術館
庭園美術館で開催中の『フィンランド・グラスアート』展へ行ってきました。
※9/3(日)まで!!!
いやあ暑い暑い。美術展チケットで庭園も入場可能なんですが、あまりの陽射しに一瞬足を踏み入れただけで退散しました。緑を愛でる余裕などない……。
こちらの美術館、建物の外観と室内装飾のギャップにいつも戸惑います。
そっけないほど無駄をそぎおとした正面玄関から入っていくと、内部はアール・デコの美の極致。ルネ・ラリックのガラスレリーフ扉が訪問客を迎えてくれます。
通常は写真NGですが、今回の企画展は一部をのぞき撮影可能とのこと。
知らずに見にきたのでラッキー!
昨年も同じ条件のイベントがあったようで、時代の流れですね*1。周囲への配慮を忘れず、撮影に夢中になって鑑賞そっちのけにせず、上手に楽しみましょう。
インテリアや食器だけじゃない 「グラスアート」の国・フィンランド
ガラス工芸に関して知識がまったくない私。正直なところ、今回訪れたのも庭園美術館めあてです。
関心が薄い状態でみるのは退屈じゃないか?と思いつつ鑑賞してたんですけど、杞憂でした。
旧朝香宮邸という舞台がグラスアートを飾るのにぴったりなんですね。
庭に向けて開かれた大きな窓が、そこからの光が、室内を明るく照らす。光はガラスをより美しく見せる。真夏のすさまじい太陽も、洋館の厚い壁を通るとやわらいでみえます。
もちろん普通の照明も使われているわけですが、自然光をふんだんに取り入れることにより、室内に不思議な陰影ができていました。
古い建物には静けさがあってほしい。そんな希望を叶えてくれる暗がりでした。
鳥モチーフのグラスアートが何点も飾ってあり、どれもたいへん可愛らしかった!
タピオ・ヴィルッカラ作『ヘラジカ』、本展覧会でいちばん好きだった作品。
ヴィルッカラのグラスアートは自然の造形をそのまま切り出してきたような、斬新で目を奪われる作品が多かったです。
釣り好きな大統領への誕生日プレゼント『氷上の釣り穴』も素晴らしかったので、下記の記事の写真をぜひ。私のスマホカメラと技術では撮影が難しかった……。
下2点の写真は近年の作品。
手がける作家にもよりますが、最近の作品はカラフル、かつ大きなサイズのグラスアートが多い印象。私の好みとはかなりズレました。個人的に工芸品は小ぶりなものが好き。
ガラス工房の作業風景ビデオも興味深かったです。 いつも思うけれど、溶けたガラスはまるっきり飴細工ですね。あんなふうに変容するのが信じがたい。
アール・デコ建築の美 庭園美術館
訪れた日は開館時間を延長していたため徐々に混雑してきたけれど、ごった返すまえに離脱。
美しい館内をぞんぶんに堪能して帰宅しました。
【開催中|フィンランドグラスアート展】
— 東京都庭園美術館 (@teienartmuseum) July 4, 2023
アルヴァ&アイノ・アアルト、グンネル・ニューマン、カイ・フランク、タピオ・ヴィルッカラ、ティモ・サルパネヴァ、オイヴァ・トイッカ、マルック・サロ、ヨーナス・ラークソ。
8名のデザイナー・作家による競演がお楽しみいただけます。#東京都庭園美術館 pic.twitter.com/B0N7FSkvHX
庭園美術館の象徴ともいうべき、アンリ・ラパン「香水塔」(噴水器とも)。
上部の照明部分に水の代わりに香水を流し、照明の熱で芳香を漂わせたとのエピソードは、あまりに浮世離れしたお話でちょっと想像が追いつきません。
暖房器具のカバー! いつ見ても飽きない、多種多様なデザイン。眺めていると時間があっという間です。
次に庭園美術館に来られるのはいつだろう。その日までに、もう少しアール・デコの知識と撮影技術の向上を目指したいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
美術関係ではこんな記事も書いています。
*1:頻繁に来ていた気分だけれど、前回訪問がいつだったか思い出せない……。10年はたっていないはず……?
94歳の新聞ちぎり絵『木村セツ原画展』ただいま全国巡回中!
『94歳セツの新聞ちぎり絵日記』展 覚え書き 2023年4月上旬
【人間はいくつになっても新しいことに挑戦できる】
希望に満ちた、ちょっとだけ胡散臭い言葉。
しかし、この教えを体現している人も確かに存在する。
木村セツさん、御年94歳。
89歳で夫を亡くし、90歳から新聞ちぎり絵を始めたアーティスト。
SNSのフォロワーは8万。あたたかい作風と、ソフトクリームや缶ビール・卵かけごはんといった親しみのもてるモチーフで、ファンは日々増え続けています。
今日は日中暑そうです。おやつにひんやりしたスイーツが食べたくなります。コーヒーゼリー。アイス乗せでこれまたテンション上がりますね。ゼリーのツヤ感を出すため今回から文字が盛りだくさんですw ミルクと混ざったところが上手い。コースターの模様と色味がやさしく、涼しさも感じさせてくれます。 pic.twitter.com/ICeL3aWEys
— 94歳セツの新聞ちぎり絵 (@setsu0107) April 16, 2023
あたたかくなりましたね。スーパーにも赤くてカワイイ苺たちが並んでいます。と、よく見ると超大粒?しかも4Lサイズとあるこの苺!いったいどんな大きさなんや・・・。みずみずしく名前通りしっかり熟して今が食べ頃ですね!新聞にこんな赤使われているのも驚きです。何円なんやろw pic.twitter.com/7noRUQXFh4
— 94歳セツの新聞ちぎり絵 (@setsu0107) March 9, 2023
配偶者を失い寂しそうに過ごすセツさんに、ちぎり絵をすすめたのは娘さんでした。「母は手先が器用だから」程度の軽い気持ちだったそう。
いままで絵を描いたことのなかったセツさん。当初は題材の選定・下絵描き・素材調達まで、すべて娘さんの担当でした。しかしセツさんのちぎり絵に対する情熱はどんどん高まり、現在は下書きから素材集めまで御本人が行っています。
新聞広告しか使わないのもセツさん流こだわりのひとつ。めずらしい色の広告は「これは貴重な色やな」と喜び、大事に保存します。素材を集めた箱の数は4箱を超えたとか!
4月上旬、表参道の山陽堂書店で開催された原画展へ行きました。
そのときの感想を写真とともに紹介していきます。
なお、『94歳セツの新聞ちぎり絵日記』刊行記念原画展は全国を巡回中。
あなたの暮らす町にもやってくるかもしれません!
この記事で興味を持たれた方は、ぜひ公式HPをチェックしてみてくださいね。
横殴りの雨の中、足を運んだ原画展(山陽堂書店にて)
どうしても原画が見たくて、横殴りの雨のなか足を運びました。想像以上に素晴らしく、思いきって行ってよかった!
月並みな表現だけれど、人は何歳になっても挑戦できる、成長できるんだと勇気をもらいました。
階段をのぼったさきの山陽堂書店の上階ギャラリー。15人も入ればいっぱいの小さなフロアに、同じく小さな額縁がずらりと。
撮影は遠景のみOK*1。
『94歳セツの新聞ちぎり絵日記』刊行記念 木村セツ原画展 2023年3月27日(月)〜4月8日(土) | 山陽堂書店情報サイト
木村セツさん宛ての感想ノートが置かれており、たくさんのファンにまじって私も「お身体をいたわりつつ創作活動を楽しんでほしい」と綴ってきました。
有頭フライ完成です!コロモサクサクズッシリしたエビで美味しそう・・・。タルタル付きで最高なやつや!エビフライのために用意されたのではと思うくらいの新聞の元画像、なんだったんでしょうね。誕生日のご馳走が忘れられず再現してしまったようです。笑 皆様にもどうぞお裾分け!お腹鳴る〜 pic.twitter.com/WXSYhMJ3Bw
— 94歳セツの新聞ちぎり絵 (@setsu0107) January 21, 2023
お祝いのエビフライ定食。ネットに食べている写真を掲載したら「このエビ、ちぎり絵で作ってください」とファンからメッセージが届いたそうです。思わず微笑んでしまう誕生エピソード!
*1:「撮影は引き、もしくは斜めから」な注意書きを時々目にするけれど、正面接写は無断コピーなど悪用される恐れがあるから……との理解で合ってるだろうか
【完全版】東京駅の隠れ家的博物館!インターメディアテク『極楽鳥』展へ行きました②
『極楽鳥』展 ☆インターメディアテク☆
ゴールデンウィークの喧騒も、あっという間に日常に紛れ消えていきましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、先日UPしたインターメディアテク『極楽鳥展』の詳細レポートです。
インターメディアテクは商業施設KITTEのなかにあるミュージアムです。
日本郵便と東京大学総合研究博物館が協働で運営しており、東京大学が蓄積してきた学術標本が主な常設展示を占めます。
「学術標本」というとピンときませんね。要は動物の骨格、剥製、鉱物や植物まで、ありとあらゆるものの標本が並んでいるのです。
鳥類の剥製や骨格標本なども多く、訪れるたびに鳥たちの色彩の鮮やかさ、多様な姿かたちの不思議さに圧倒されてきました。
それらのリアルな「鳥」と、鳥をモチーフに作られた「ジュエリー」の競演が実現したのが『極楽鳥展』です!
鳥モチーフのジュエリー
まずは気に入った写真を何点か。
ピエール・ステルレ作『鳥のブローチ』、鳥の胴体に見立てた石はアクアマリンだそう。
実物はもっと可愛かったんです! 被写体が小さいうえ、スマホカメラの性能限界を感じる。
赤い石のデザイン違いで、ヒナが生まれ4羽並んでいる作品もありました。
ハチドリ? 軽やかに舞う姿に見惚れます。
繊細な細工を活かすためか、ジュエリーは大半がブローチでした。
モチーフとして多く使用されたのは孔雀、それからハチドリ。
個人的にハチドリのほうがずっと好きでしたね。孔雀はデザインがすでに華麗の極致、ジュエリーになるときらびやか過ぎて……。
私の写真ではいまいち美しさが伝わらないので、下記ムービーをどうぞ。ジュエリーの細部を堪能するだけでなく、展示会場の雰囲気も味わえます。
こちらも魅力が伝わりやすい特集です。
鳥の剥製標本
次は宝飾芸術のイメージ源泉となった鳥たちの剥製標本。
パラワンコクジャク。羽の目玉模様が恐ろしくも美しい。
世界最大の鳩、カンムリバト。たしかに驚くべきサイズ感でした! 大人でもたっぷり一抱えぶんあります。
この壁、うっかり通りすぎるところでした。
長いながい物体の正体はオナガドリの尾!(天井近くに鳥がいるの見えますか?)
尾羽が傷まないように、運動させるときは飼い主が尾を持ち、後をついてまわるのだとか。
飼育方法を調べていくと驚きと疑問がわきあがりますが、「普通」の鶏の育ち方も知らない自分が簡単に批判はできないですね。
ちなみに展覧会タイトルの極楽鳥はフウチョウ類の別名です。
昔ヨーロッパに持ちこまれたとき、この美しい鳥は運搬の利便性のため翼と脚が切り取られていました。
そのため当時の人々は「天上に住み、いちども地上へ降りることなく風に乗って飛び続ける鳥」という意味をこめ、「極楽鳥」と名付けたそうです。
自然の偉大な造形を前にしたとき、人類が抱く壮大な幻想。
そのイメージを小さなブローチに表現する技術力、無視できないエゴイズム……、鑑賞後いろいろ考えてしまうタイトルでした。
ミュージアムの魅力☆東京のど真ん中で異空間へトリップ
舞台となる旧東京中央郵便局舎は、昭和モダニズムを代表する建築として知られていたとか。
標本のケースやキャビネットも、かつて帝大など教育現場で使われていたものです。
時代の流れを刻んだ什器につめこまれた多くの標本。無造作な展示の様子とは裏腹に、ラベルには小さな手書き文字で丁寧に説明が綴られている。
タイムスリップしたような、どこか異国の屋敷に招待されたような……場の空気とあいまって、不思議な雰囲気にひたれるミュージアムです。
特別展最終日の駆け足鑑賞でしたが、それでも満足できるほどに楽しい経験でした。
そうそう、来場者には「超豪華フルカラー40Pの展示ガイド冊子が無料配布」という信じられないお土産もあったのです!
Twitterで話題だったそうで……。訪問予定のイベントはあまり情報収集しないスタンス(新鮮な驚きが損なわれるため)の私は現地で知りビックリ*1。閉館時にもまだまだあった在庫はどうなるんだろうといらぬ心配をしてしまいました。終了後でも希望者には配布、とかあれば最高なんだけど。
……とか言っていたら、非公式Botさんがツイートされてました。冊子配布中!
東京駅近辺にお出かけの際は、ぜひ寄ってみてください!
例の本はまだまだ配布中なので、転売から買う必要ないですよ。
— 非公式インターメディアテク (@IMT_Schedule) May 20, 2023
っていうか転売の養分になったらっだめですよ。
[扉]*´≡`) https://t.co/i6rgfoZvYg
入館無料なのが申し訳ないほど素晴らしい施設だと毎回思います。
せめて「IMTブティック」※一般で言うミュージアムショップ で買い物をしたかったのですがタイムリミット。オリジナル商品のほか、東京大学の研究成果から商品化されたアイテムもあり、風変わりで楽しいのですよね。次回リベンジします!
↓ 一部はオンラインショップでも購入可能 ↓
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次回はディオール展の記事をまとめる予定です。
こんな記事も書いています。
*1:もらっていいの?と躊躇してた自分に声をかけてくれた方ありがとう!
東京駅の隠れ家的博物館!インターメディアテク『極楽鳥』展へ行きました①【今週のお題】
インターメディアテク開館十周年記念特別展示『極楽鳥』
土砂降りの雨が降るゴールデンウィーク終盤、インターメディアテクへ遊びにいきました。
美術好きのあいだで、長く「東京駅の隠れ家的スポット」として愛されている(独断)こちらの博物館。
旧東京中央郵便局舎の一部を保存した建物は広々として、都会のど真ん中だということを忘れてしまう静けさに満ちています。
2月末、「インターメディアテクが撮影可能になった」との情報がTwitter上で広まりました。
あの素敵空間を写真に撮れる! でも、大きな魅力の静謐さがシャッター音でだいなしになるとイヤだなあ……。
そんなジレンマを抱えつつ、現地へ向かったのはGW最終日。
ちょうど特別展『極楽鳥』もその日が最後でした。
たいへん見応えがあり、常設展示とはまた違う方向性で楽しかった!
天候不順と、短い時間しか鑑賞できないのを理由に諦めようかと思ったけれど、行ってよかったです。
感想は近日あらためて書く予定*1。
他にもいくつか記事にしたい展覧会があるので、がんばろう……!
今週のお題「何して遊ぶ?」
印刷から生まれる化学反応 『宇野亞喜良 万華鏡』展を振り返る
『宇野亞喜良 万華鏡』展 感想
イラストレーター・宇野亞喜良にどのようなイメージがありますか?
答えはきっと様々でしょう。
60~70年代カルチャーに興味がある人は、一世を風靡したアングラ劇団・天井桟敷のポスター画家として。
麻布十番納涼まつりのチラシ・グッズ類も担当しているので、イベント情報で目にする機会もあるかもしれません。私も1度行って、配布された美麗イラスト入りうちわを今でも大切にしています。
しかし、なんといっても印象的なのは本の装画!
私にとって宇野氏は「好きな作家本の表紙を飾ってくれると嬉しいイラストレーター」のひとりでした。そして、書籍といえば印刷。
ギンザ・グラフィック・ギャラリーにて開催されていた宇野亞喜良の企画展は、単純に原画を展示するものではありません。イラストに特殊印刷をほどこし、忠実に原画を再現するのとは違う、新たな魅力を鑑賞者にみせてくれました。
今回はこちらの展覧会の感想です。大半が撮影OKだったので写真多め。
よろしければ最後までおつきあいください。
ギンザ・グラフィック・ギャラリーとは
ギンザ・グラフィック・ギャラリーは、大日本印刷(DNP)が企画・運営するグラフィックデザインの専門ギャラリーです。愛称はスリー・ジー(ggg)。
銀座通りから少し離れた静かな環境ながら、ギャラリー前に立って見渡せば文化財の銀座ライオンがすぐそばに……と絶好のアート鑑賞スポット。
過去にはひびのこづえ、マリメッコといった展覧会も開催しており、時間を忘れて楽しませてもらいました。
この記事を書いている2023年2月は「人間と動物との共存と平和」をテーマの作品をセレクトした『動物会議 緊急大集合!』が開催中です。入場無料なので、銀座散策の際にぜひどうぞ。
※日曜・祝日は休館です注意! そのぶん夜7時と遅くまでやっていますが。
新作 俳句と少女をテーマに(1階展示)
「印刷というのはイラストレーションを確実に復元するんじゃなくって、出来上がったものがよければそれが一番いい」と、昔から印刷のマジックに強い関心を示してきた宇野。本展(1階会場)では、俳句と少女をテーマにした作品シリーズ約20点を、津田淳子氏による特殊印刷設計によって、異なる表現方法を試み、新たな作品に蘇らせます。
ギンザ・グラフィック・ギャラリーHP 企画展アーカイブより引用
そんなアーティストの信条から企画された本展。コラボレーション相手の津田淳子氏は雑誌『デザインのひきだし』編集長だそうです。
訪問前に下調べを(あえて)しなかったため、特殊印刷とは何ぞや……? と好奇心いっぱいで向かいました。
1階部分は俳句と少女をテーマにした作品群。
上は新聞紙に印刷された作品。試し刷りを覗き見るような、不思議な感覚。
下の写真で少女が身体に巻き付けているリボンは、色とりどりの極小ビーズで表現されています。印刷と言うからには手作業じゃないのでしょうが、ちょっと過程が想像できません。
バラの模様が浮き出し加工されたホイルペーパーに印刷された少女像。背後の壁にも少女が描かれており、鋭い視線に射抜かれる心地になります。
素人にはわかりにくい特殊印刷について、くわしく説明したリーフレットが配布されたそうなのですが、残念ながら私は入手できず(見落としたか、閉幕近くだったので品切れしていたのかも)*1。
下記リンク先でいくつかの作品の解説が読めます。
本の小口に印刷された女性イラスト。少しずつズレて積まれていること、女性の謎めいた表情もあいまって、眺めていると不安な気分になります。
3枚目の月と少年少女、実物はもっとキラキラしていました。照明の加減でもずいぶん変わるのでしょうね。
作品から離れて撮影した1枚。壁にもぐるりと宇野亞喜良の絵が描かれています。
60年代のポスター 天井桟敷など(地下展示)
地下1階は60年代のポスターが展示されていました。
伝説の劇団・天井桟敷の公演ポスターがズラリ……。こちらの方面に疎い私ですら「あ、これ知ってる!」となるのですから、マニアはたまらないのでは。マックスファクター、越路吹雪リサイタルの広告などもありました。
街中で人目を奪う必要があるポスターの性質上、毒々しいほどくっきりとした色合いの作品も。宇野さんは作風があまり変わらないアーティストと思っていましたが、こうして新旧を並べると印象が変わります。
最後に下の2枚の写真をご覧ください。
1枚目はオリジナルのイラスト、2枚目は布に刺繍+昇華転写をほどこした「せと刺繍」という技法だそうです。布の質感と刺繍の凹凸が合わさり、作品になんとも言えない深みを与えていました。
「印刷のマジック」ってこういうことなんだなぁ~
展覧会の秘密があきらかに?「市谷の杜 本と活字館」
『宇野亞喜良展』は終了しましたが、作品の制作過程にフォーカスした企画展が「市谷の杜 本と活字館」で開催されるとのこと。
解説を見逃した私にとって大チャンス!! 会期も前期・後期合わせて10月29日までと、たっぷり余裕があります。
こちらの施設では印刷と本づくりを実際に体験したり、様々なワークショップも行われているそうです。これは1日遊べてしまう予感……! こだわりの印刷技術で作られた「紙モノ」商品もお土産として購入できるとか。
ぜひ行ってみたいと思います。訪問したらまた記事をアップしますね。
※来館には事前予約が必要です※
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
*1:解説が読めなかったぶん、想像をめぐらせて鑑賞できたと思い良しとします……